マツダ技報 2019 No.36
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Fig. 15 An Example of the Attained Mixture Distribution ① 自己着火燃焼の緩慢化 ② 自己着火燃焼の安定化(伝ぱ燃焼の安定化) ③ 自己着火燃焼の抑制 の3つが重要な課題となる。 -28- 5. SPCCI燃焼の全負荷への適用 Approach through DOE Approach この場合,図中🔶で示す高い排出NOx濃度が発生する結果となった。 伝ぱ燃焼の安定度を高めるためにスワールコントロールバルブを閉じて乱流を形成させると,混合気の成層化に依存する必要性が小さくなり,NOx-BSFCトレードオフ線は大きく改善することができる(図中■)。 更に,燃料噴射を2回に分割し,混合気の最適配置を図ることでNOx-BSFCトレードオフは更に改善する(図中▲)。 を使用して最終的なキャリブレーションを導いた過程を示す。Fig. 14中の白破線はFig. 13中の▲のトレードオフ曲線に相当し,最終的に白丸で示す燃料噴射時期並びに分割比を採用した。 負荷での噴射キャリブレーションに対応する燃焼室内混合気分布(CFD計算結果)を示す。希薄燃焼域高負荷では複数の噴射を組み合わせることによりおおむね均質の混合気を形成している。また,点火プラグ周辺には燃焼安定化のため,やや濃い混合気が準備されていることがわかる。 5.1 全負荷でのSPCCI燃焼課題 (Cylinder Pressure Level)の悪化を招いてしまう。この5.2 SPCCI燃焼の特性 Fig. 16(a)は,図示の運転条件にてEGR無でプレイグニッ Fig. 14は,DOE(Design of Experiment,実験計画法) Fig. 15は同じくDOEを使用して導いた,希薄燃焼域高Fig. 13 NOx-BSFC Tradeoff in SPCCI Combustion and Its Improvement Fig. 14 NOx-BSFC Tradeoff Improvement by DOE 部分負荷SPCCI燃焼では自己着火燃焼を誘発するために火花点火伝ぱ燃焼を利用した。逆に,全負荷では自己着火燃焼の抑制と緩慢化が必要となる。火花点火伝ぱ燃焼速度のサイクル変動は自己着火燃焼の位相変動を引き起こし,自己着火燃焼割合の変動や自己着火燃焼に伴うCPLため,伝ぱ燃焼の安定が重要である点は部分負荷SPCCIと同様である。 まとめると,全負荷SPCCI燃焼においては ション限界の充填効率で運転したときの熱発生率を10サイクル分重ねて示したものである。伝ぱ燃焼が早く急激な自己着火燃焼を伴うサイクルと伝ぱ燃焼が遅く熱発生率が緩慢すぎるサイクルとが混在していることがわかる。点火進角は,伝ぱ燃焼が早く急激な自己着火燃焼を伴うサイクルで発生する高いCPL(Cylinder Pressure Level)によって実質的に制限される。 自己着火燃焼の抑制と緩慢化のためには外部EGRが有効である。Fig. 16(b)は,9%の外部EGRを加えたときの熱発生波形の重ね書きを示す。なお,充填効率は同じくプレイマツダ技報 No.36(2019)

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