マツダ技報 2019 No.36
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Exh. Hot Air -34- 2.2 適温を下げる(オイルの低粘度対応) エンジンやトランスミッションの抵抗は,油温が低い状 2.3 可変吸気システム SPCCI燃焼が要求する筒内状態量にするためには,筒内Fig. 5 Friction ratio by Oil Temperature Fig. 4 Effect of Water Flow Control Int. Fig. 6 Image of Air Duct Position SPCCI燃焼を低外気温度下でも実現するためには,外気この効果は,Fig. 4に示すように,燃焼室周りの水温の上昇を大幅に早め,燃焼効率の高い状態へ早期に移行できるようになっている。 今回の水流制御は,止水中の発熱量と各部の熱容量の関係を踏まえて,燃焼室周りの壁温や水温を予測しながら,トランスミッションの暖機や暖房用の空調要求も満足できるように,通水タイミングや通水量もコントロールして いる。 態では,Fig. 5に示すように,暖機後に比べてかなり大きくなるため,燃費性能への影響が大きい。このため,エンジンオイルもトランスミッションオイルも,低油水温時のオイル粘度を下げ,SKYACTIV-Xでは低油水温時の抵抗低減を図っている。この適温の低温化技術を採用することで,先に述べた水流制御との相乗効果で,SPCCI燃焼の早期実現とパワートレーン全体の抵抗低減で,燃費性能改善にも貢献できている。また,従来の車両から採用しているトランスミッションの油温を昇温させるためのATFウォーマー機能と低粘度化を併用することで,低外気時の走行中もロックアップ作動が可能となり,実用燃費も改善されている。 の壁温と同じように,吸入空気温度も重要な因子となっている。従来の吸気システムは,吸気導入口をラジエターグリル近傍に設けることで,外気を導入しやすい構造としており,高外気温度下においても,吸入空気温度を低く保つことをねらっていた。その反面,吸入空気温度は外気温度に依存することから,低外気温度下においては,吸入空気温度が低くなる。 温度に依存せず,適温にすることが求められる。 そこでSKYACTIV-Xでは,燃焼状態の要求に応えるべく,吸入空気温度制御構造を採用している。 従来の構造同様にラジエターグリル近傍の吸気口に加え,後述するエンジンルーム内のカプセル化の中にも吸気導入口を設け,Fig. 6に示すように,ラジエター後方の排熱を利用することで,低外気温度下においても,SPCCI燃焼に必要な状態量にすることが可能となっている。 この2つの吸気口をFig. 7に示すように,電動アクチュエータで切り替えることで,各燃焼方式に適した吸入空気温度を実現させている。 マツダ技報 Fresh Air No.36(2019)

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