-36- カプセル化技術による保温効果は,Fig. 12に示すように4. おわりに Fig. 11 Image of Encapsulation 3.2 適温維持に向けた風流れコントロール エンジンルーム内をカプセル化することで,走行中のエAAS開度をコントロールしている。これにより,Fig. 16のFig. 15 Image of Wind Flow Fig. 16 Control of the Air Velocity Fig. 12 Effect of Water Temperature within Parking Time Fig. 13 Ratio of Parking Time in Europe Fig. 14 Improvement of Fuel Economy by Parking Time 具体的には,Fig. 11に示すようにカプセルカバーは,超極細繊維を1100g/m2の目付量で構成した高性能グラスウール,不織布製の表皮,PA6-GF30の基板,及びシールラバーから成り,エンジンを囲ったカプセル空間の換気率(カプセル内外の空気循環率)は4%以下を達成している。 また,エンジン直貼りは,ウレタン材を採用し,エンジンを覆う直貼りカバー率は60%以上となっている。 外気:-10℃の環境下で駐車時間に応じて,水温等が低下していくスピードが大幅に緩やかになっている。これにより,Fig. 13に示すように,市場での遭遇頻度多い,駐車時間が9時間以下では,従来よりも駐車後の再始動時の油水温が高くなり,5%以上の実用燃費効果が得られている。 このカプセル化については,CO2削減の先進技術として,欧州市場では,エコイノベーション技術のCO2クレジットの認可も,新型MAZDA3で,獲得できている。 ンジン回りの各部品等への走行風の導入にも工夫している。概要はFig. 15のイメージ図のとおり,カプセル化の構造を利用し,エンジンのヒートポイント周辺にエンジンルーム内の風の流れを作り,従来よりも通過風速を20%増やしている。また,走行状態によっては適温維持に必要な風量も少なくできる領域も発生するため,フルタイプに変更したようにヒートポイントの温度下げ,エンジンルーム内に導入する風量低減によって,空力改善にも貢献している。 新しい燃焼状態を常に実現すべく,限られた熱源を有効利用する技術に取り組んできた。今回の適温を下げ,その適温までの各部の温度や油水温を短時間で上昇させ,エンジン停止後の温度低下(放熱)を抑制させることは,熱マネージメントの基本と考えている。今後,更なる内燃機関の燃効率改善に向けて,廃棄する熱エネルギーを更に減らし続ける技術に取り組んでいきたい。 マツダ技報 No.36(2019)
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