マツダ技報 2019 No.36
49/321

-40- ③CPLを車速によって変化する走行騒音レベルに応じて 2.2.1 エンジン伝達特性の開発 Fig. 6に,SKYACTIV-XのCPLとエンジン振動の周波数Xにも適用する。Fig. 8にSXYACTIV-XのNSS外観図を Vibration Fig. 7 Principle of Controlling Engine Vibration Fig. 9にNSSのCAE検証効果を示す。ねらいどおり, NSSで普遍的な共振現象である4kHzのピストン振動 2.2.2 吸遮音材によるカプセル化技術 吸遮音機能の理想は,放射源を完全に覆い,外に漏らさSKYACTIV-Xでは,Fig. 10に示すように,効率的に遮音Fig. 8 Structure of Piston with NSS Fig. 9 Result of the NSS Influence 焼刺激力(Cylinder Pressure Level :以下CPL)は燃焼室の空洞共鳴(6000~7000Hz)までも大きく励起し,エンジン放射面までの伝達経路で特定周波数の振動が大きくなり,放射される。放射された空気の振動はエンジンルームから車内に伝ぱし,走行騒音よりも大きい場合に車内燃焼騒音として認知される。 従って,車内燃焼騒音の開発方針を以下とした。 ①エンジン伝達特性で生じる特定周波数の大きな共振を抑制することで,突出した騒音レベルを低減させる。 ②吸遮音機能で全周波数域を一気に低減する。特に,高周波で吸遮音効果が発揮できることから,燃焼室の空洞共鳴を大幅に低減させる。 制御する。 領域の実測結果を示す。CPLは目立ったピークを持たないが,エンジン伝達特性には3500~4500Hzに突出したピークをもつ。このピークは,往復動機関では普遍的な現象であり,燃焼騒音増加の主因となっている(2)。 この伝達特性でピークが発生するメカニズムは,ピストンを質量,コンロッドをバネとする共振現象である。対策コンセプトは,共振により激しく振れるピストンとは 逆位相で動吸収器を動かし,ピストン振動をキャンセルさせることである。Fig. 7にメカニズムと動吸振器の概念図を示す。 SPCCI燃焼のように熱発生率が急峻になると,筒内の燃Fig. 6 Frequency Characteristics of CPL and Engine この共振に対し,SKYACTIV-Dで採用している動吸振器(Natural Sound Smoother 以下NSS)をSKYACTIV-示す。 レベルを6dB低減することができた(3)。 ないことである。しかし,実際のエンジンは熱害などから完全に覆うことは困難であり,透過する音が存在する。効果を高めるため,音源であるエンジンに直接遮音材を付加することで,可能な限り音がエンジンルームに拡散しなマツダ技報 No.36(2019)

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る