特集:新型MAZDA3 7 -44- (Fig. 1)。これらの実現手段として,燃料に対する空 *1~6 MBD革新部 1. はじめに 2. SKYACTIV-Xの特徴 Combustion Simulation Technology Applied to SKYACTIV-X SKYACTIV-Xに適用する燃焼予測技術 Summary In pursuit of an ideal internal combustion engine capable of significantly reducing CO2 emission, Mazda Key words : Heat Engine, Homogeneous Charge Compression Ignition, Numerical Calculation 要 約 Takumi Uemura SKYACTIV-Xでは,圧縮着火・ノッキングのように,混2.1 開発構想 現行ガソリンエンジンSKYACTIV-Gの熱効率を高める河野 通治*1 Michiharu Kawano 上村 匠*4 本田 雄哉*2 植木 義治*5 Yoshiharu Ueki Yuya Honda 和田 好隆*3 Yoshitaka Wada 横畑 英明*6 Hideaki Yokohata 次世代ガソリンエンジンSKYACTIV-Xを開発した。SKYACTIV-Xでは,圧縮着火・ノッキングのように,混合気の化学反応によっておこる自着火現象を完全に制御する必要があり,その実現のために予測技術を用いたモデルベース開発は重要な役割を担う。そこで,基礎研究による現象解明を通じて,これまで開発してきた流動・噴霧予測技術を高精度化し,新たに素反応を考慮した燃焼予測技術を構築した。加えて,本予測技術を用いて,高速高負荷域で発生するノッキング現象を分析し,その抑制の方向性を確認した。 マツダは,将来においても地球・社会・人とクルマが共存する世界を思い描き,クルマの実用環境下でのCO2排出量の削減効果を最大化することを目指している。発電形態・環境規制から,内燃機関以外が適した市場には,電動化技術を投入できるよう研究開発を進めているが,2035年においても,世界的に大多数を占めると予測されているのは内燃機関を主要動力源とするものであり(1),内燃機関の理想追求がCO2排出量の削減に最も寄与すると考える。そのためマツダは,リーン圧縮着火による熱効率向上を実現する次世代ガソリンエンジンSKYACTIV-Xを開発した。CO2排出量の削減に最も寄与する内燃機関の理想追求に向け,リーン圧縮着火による熱効率向上を実現するdeveloped the next gasoline engine Skyactiv-X with lean compression ignition that improves thermal efficiency. Skyactiv-X needs to fully control auto ignition phenomena caused by chemical reactions of air-fuel mixture such as compression ignitions and knocking, and to realize the control, model-based developments using simulation technology is essential. Accordingly, Mazda improved the precision of the Mazda-developed-flow and spray simulation technology through phenomena elucidations by fundamental researches, and established a new combustion simulation technology considering elementary reactions. This simulation technology was also used to analyze knocking phenomena occurred at high loads and speeds to confirm the direction of the phenomena control. MBD Innovation Dept. 合気の化学反応によっておこる自着火現象を完全に制御する必要があり,その実現のために予測技術を用いたモデルベース開発は重要な役割を担う。 本稿では,SKYACTIV-Xに適用する燃焼予測技術の開発とその適用効果について紹介する。 には,比熱比の増加,壁面熱伝達の抑制が効果的であるマツダ技報 No.36(2019)
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