マツダ技報 2019 No.36
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End-Wall Autoignition -48- Fig. 9 Schematic of Combustion Vessel Flame (A) Spark (B) (b) Temperature (c) CH2O High Speed Camera Autoignition Time Progress Fig. 10 Direct Photography Results (B) (A) (a) Pressure History at End-Wall Flame Fig. 11 Simulated Results 500K,当量比1.0,壁温500Kを初期条件として点火した場0.8とし,エンジンノッキングの自着火現象について検証 3000rpm,充填効率75%で,点火タイミングの進角でノッ10deg.aTDCから15deg.aTDCに自着火がおこる(Fig. 12)13)。計算結果からこの現象を考察する。SKYACTIV-Gとで伝ぱ火炎を生成する(Fig. 9)。圧力0.5MPa,温度合,火炎が35mm伝ぱした時点で火炎前面より自着火がおこる(Fig. 10)。火炎による圧縮効果は,未燃混合気全体に一様に寄与するため,火炎前面でおこるという局所的現象には不明点が残る。 この現象を解明するために,素反応を考慮した2次元燃焼予測技術を構築した。反応モデルはLiu(48化学種,152反応式),格子サイズは20μm,Courant Friedrichs Lewy(以下,CFL)数は0.8とし,対称境界を用いて計算負荷を低減した。その結果をFig. 11に示す。未燃混合気が火炎に圧縮される際,その温度は壁温よりも高くなるため,壁面近傍の未燃混合気の温度は相対的に低くなる。一方,火炎前面の未燃混合気は,火炎の圧縮効果に加え,火炎からの熱伝導で温度がわずかに高くなる。これにより,中間活性種ホルムアルデヒド(CH2O)が生成されることで冷炎の発現時期が早まり,火炎前面で自着火するという局所的現象を引きおこすと考えられる。 実際の燃焼室では,混合気の温度・濃度の空間分布が存在する。そのため,3次元燃焼予測技術が必要だが,格子数増加で計算負荷が高くなる。そこで,複数の計算機を用いて並列計算する際の負荷を平準化し,30%超の高速化を行った上で,3.2で決定した格子サイズを適用した。乱流モデルはSmagorinsky,反応モデルは広島大学との共同研究を通じて開発した簡略化反応機構(133化学種,558反応式),燃料は5種サロゲート(オクタン価95),CFL数はした。 エンジンにはSKYACTIV-G 2.0を使用し,回転速度キングを誘発し,VisioKnockを用いて未燃混合気の自着化位置・頻度・時期を計測した。計測結果では,排気側でが,計算結果でも同様の現象を示すことを確認した(Fig. では,吸気行程で形成される強いタンブル流が燃焼開始時点でも残存し,3000rpmでは排気側から吸気側への強い流れが存在する。この状態で点火すると,吸気側への火炎伝ぱが速く,逆に排気側が遅くなる。これにより,未燃混合気が排気側に多く残存するため,火炎面が到達する前に自着火がおこりやすくなる。加えて,圧縮上死点前で点火タイミングを進角すると,圧縮上死点での燃焼割合が増加するため,火炎による圧縮効果が上がる。これにより,未燃混合気の温度は1000K超まで上昇し(Fig. 13(a)),ホルムアルデヒドが生成された後(Fig. 13(b)),自着火に至ることを確認した。 マツダ技報 No.36(2019)

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