-49- 4. 燃焼予測技術の適用効果 5. おわりに 参考文献 (a) Autoignition Point (b) Autoignition Timing Fig. 12 Measured Results 10ATDC 11ATDC Autoignition (a) Temperature (b) CH2O Fig. 13 Simulated Results at Exhaust Area SPCCIにより実用運転範囲の熱効率向上を実現するSKYACTIV-Xでは,SIで運転する高速高負荷域のノッキSKYACTIV-Xは高い動力性能と優れた環境性能を実現 10ATDC 11ATDC Hot Spot (c) Pressure at Piston Crevis (d) Pressure at Plug Pocket (1) IEA/ETP Energy Technology Perspectives 2015,pp. 45,Fig. 16 (2) 佐藤ほか:SKYACTIV-GにおけるCAEの活用,マツダ(3) 横畑ほか:SKYACTIVエンジンの性能開発に活用したMBD,マツダ技報,No. 31,pp. 54-59 (2013) (4) S. Moon et al.:Governing parameters and dynamics of turbulent spray atomization from modern GDI injectors,Energy,Vol. 127,pp. 89-100 (2017) (5) R. Payri et al.:Diesel nozzle geometry influence on spray liquid-phase fuel penetration in evaporative conditions,Fuel,Vol. 87,pp. 1165-1176 (2008) (6) H. Luo et al.:Microscopic behavior of spray droplets under flat-wall impinging condition,Fuel,Vol. 219,pp. 467-476 (2018) (7) H. Terashima et al.:Mechanisms of strong pressure wave generation in end-gas autoignition during Heart Flame (a) Flame Propagation (b) Temperature Highest Head Point Fig. 14 Simulated Results Autoignition Plug 基礎研究による現象解明を通じて,SKYACTIV-Xのモデルベース開発を主導する燃焼予測技術を構築した。流動・噴霧予測技術では物理モデルの修正・格子サイズの最適化で適用範囲を拡大し,燃焼予測技術では素反応を考慮することで自着火予測を可能にした。今後も産学連携を強化し,内燃機関の理想追求に向けモデル主導での飽くなき挑戦を続けていく。 技報,No. 29,pp. 47-52 (2011) マツダ技報 No.36(2019) ング抑制が主要課題となる。本章では,前述の予測技術を用いてノッキング現象を分析し,抑制の方向性を確認した事例を紹介する。 開発段階の試作エンジンでは,回転速度5000rpmの全負荷で,1000サイクル中に数回強いノッキングが観察された。強いノッキングがおこるサイクルは,共通して熱発生時期が過進角状態であったため,計算では点火タイミングを進角させて現象を再現した。強いタンブル流を利用する高速高負荷域では,燃焼開始時点でもタンブル流が残存するため,点火後にハート型火炎が形成される(Fig. 14(a))。火炎に挟まれた未燃混合気部は高温になり(Fig. 14(b)),この温度上昇が自着火を引きおこす。この局所的自着火で発生した圧力波は,ピストンクレビス(Fig. 14(c))・プラグポケット(Fig. 14(d))のような狭い空間で増幅されるため,溶損・破損の原因となる。これらの結果から,圧縮上死点で残存するタンブル流を崩壊させ球状火炎を形成する,未燃混合気部が形成される排気側の混合気分布を制御して自着火しにくい状態にする,自着火で発生する圧力波が狭い空間に伝ぱしにくい形状にする,ことをノッキング抑制の方向性と定めた。この指針に基づき開発を進めることで,ガソリンエンジンがもつ気持ちのよい高回転の伸びを実現した。本予測技術はSPCCIの開発にも適用し,した。
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