マツダ技報 2019 No.36
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titcennuomano ji -55- 約1/5の微小流量から全負荷領域までの広い噴射量ダイナミの5段噴射を可能とした重要な技術要素のひとつと考える。 5.4 エアサプライシステム (3)センター噴射 (4)流量調整弁内蔵インジェクター Needle assembly Fig. 15 Schematic Illustration of Injection Amount Fig. 16 Structure of Flow Control Valve Ballistic Bouncing area area Fig. 17 Boost Pressure with Air-supply Magnetic force Hydraulic force Injection time Full lift area Needle motion image Flow control valve ・ガス量コントロールのため,定常連続過給ができ,過渡応答性がよいこと。 ・排気ガス浄化の観点から,排気ガス温度の低下を避けるため,触媒前の熱容量が小さいこと。 これらの要求を満たすシステムとして,ルーツブロア式マツダ技報 Side Injectio Fig.14 Spray Angle Fig. 15のように,芯弁リフトの動作の違いにより,放物線SKYACTIV-Xでは,SPCCI燃焼が要求する状態量の吸気Center Injection No.36(2019) 短時間に多くの空気と接触させて気化を促進しエンドガス冷却効果を得るために,ガソリン用直噴インジェクターでは世界最多の10噴口を採用した。一般的なサイド噴射ではピストン等の制約から噴霧角は左右70°上下40°程度しか取れず,噴霧どうしの干渉による微粒化悪化のため多噴口化は難しい。センター噴射化により90°もの広い噴霧角を実現し,10本の噴霧を十分空気と接触させることで,気化を促進した(Fig. 14)。 さまざまな運転条件で圧縮工程噴射でのエンドガス冷却効果を得るためには,微小流量から高流量まで連続的に使える噴射量制御性が必要である。 一般的にガソリン直噴インジェクターの噴射量特性はを描く微小リフト域,ニードルが上部ストッパに当たって跳ね返るバウンス域,フルリフト域の3つの領域に分けられる。しかし一般的なインジェクターでは微小リフト域,バウンス域の芯弁の動きは外乱に対し敏感で不安定なので,その領域は限定的にしか使えない。SPCCI燃焼を実現するため,その制限を排除し微小リフト域から全領域高い噴射量制御性をもつ流量調整弁を内蔵したインジェクターを開発した(Fig. 16)。流量調整弁により芯弁にかかる電磁力と燃圧による油圧力はバランスし安定して作動する。これにより微小流量域の作動速度のばらつきを抑制するとともに,バウンス現象を排除した。その結果,従来システムのックレンジを実現した。この油圧制御弁による作動安定性は,ソレノイド駆動インジェクターとして世界最多クラスガス(新気+EGR)を高効率で供給するためのエアサプライシステムを採用している。エアサプライシステムの選定にあたっては,以下の機能が求められる。 ・燃費面から,比熱比改善のためにEGR導入によるリーン燃焼(G/Fリーン燃焼)を広範囲でサポートができること(Fig. 17)。

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