マツダ技報 2019 No.36
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Fig. 21 Relationship Between Internal EGR Ratio and -57- 6.3 潤滑システム 幅広い領域でSPCCI燃焼を成立させるためのピストン 6.2 サーマルマネージメント 早期にSPCCI燃焼へ移行するため暖機性能の向上を図っ (1)低油圧化 Intake System Specification (2)外部EGR分配改善 SKYACTIV-Xでは短い距離で十分な混合を行うためにEGRバルブからのEGR噴流と吸気経路からの空気を互い23)。 Fig. 22 Technology Utilizing Cooling System Fig. 23 Cooling Circuit of SKYACTIV-X Valve(OCV)を内蔵した可変容量オイルポンプを新開発(Fig. 26)。以上により常用域における目標油圧を従来比30%以上低減している。 Fig. 24 Lubrication Passage Fig. 25 Oil Pump クーリングジェットのコントロールと,オイル圧送仕事の低減を実現するためには,きめ細かな油圧コントロールが必要となる。そのため,SKYACTIV-Xでは,Oil Control し,運転状態に応じて吐出量をコントロールすることで各種要求性能を実現した。またオイルポンプの吐出性能や各軸受のクリアランス,オイルの粘性等の油圧性能に影響を及ぼす因子について,初期バラツキや劣化状態をモデルで再現することで,信頼性を担保しながら必要最低限のポンプサイズを決定した。以下に本エンジンで特に実用燃費低減につながった2つの技術について紹介する。 本エンジンの潤滑油路をFig. 24に示す。SKYACTIV-Gから,①排気S—VTの油圧タイプから電動タイプへの変更,②タイミングチェーンテンショナーの圧損低減を行うことで,油圧デバイスの要求で決まっていた目標 油圧を飛躍的に下げることが出来た。またOCVをオイルポンプに内蔵し(Fig. 25),吐出直後の高い油圧を可変機構の作動圧に利用することで,油圧の制御範囲を低圧側へ拡大したマツダ技報 No.36(2019) 外部EGRについては十分に空気との混合を進めた状態でサージタンクに導入し,各気筒へ分配することを考えた。外部EGRの混合面からは長い距離をかけて混合を進めることも有効だが,レスポンスの悪化につながる。に衝突させることでミキシングを行っている。結果,EGR導入率の高いNA領域にて高レスポンスを維持しつつ,燃焼安定性と燃費改善の両立を行うことができた。 た。経路ごとにバルブを設けることで,各補機の適正温度を確保しつつ,温めたいシリンダーヘッドの放熱を抑制させ暖機性能を高めた。また,暖機後は,電子制御サーモスタットで水温を制御し,冷却水切替バルブ(CSV)によるパルス制御で流量調整できる構成とした。これにより,軽負荷時にSPCCI燃焼を可能とする壁温にするため,電子制御サーモスタットの設定温度を高めに制御し,CSVでエンジン循環流量を絞ることで水温100℃レベルまで高めた。一方,高負荷では,電子制御サーモスタットの設定温度を低めに制御し,更にCSVの開度を全開にしてエンジン循環流量を高めることでエンジン信頼性を確保させた(Fig. 22,

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