マツダ技報 2019 No.36
68/321

*1~6 PT制御システム開発部 -59- 特集:新型MAZDA3 9 要 約 SKYACTIV-Xの制御システム Control System of SKYACTIV-X Fig. 1 Schematic Control Block Diagram されていないさまざまな新規デバイスを含む新たな制御システムを開発した。燃焼を制御する機能を実現するソフトウェア的な構造を示したのち,制御ハードウェアシステムの概略及び主要な制御機能について,量産部品として世界初の筒内圧力センサーを含む燃焼検出システムとその活用も含め,新規要素を中心に紹介する。 状態の下でも,可変圧縮比等の複雑,高コストになりがちなハードウェア機構をもちいることなく,適切な火花点火によってねらいの自着火燃焼を安定して実現できるようになった(1)。しかし,環境条件などに応じて適切なタイミングで火花点火を行うためには,筒内状態の精確な推定,制御と,それに応じた燃料噴射,点火時期決定を行うことができる制御システムが必要である。 本稿では,まずSPCCI燃焼制御の概念を示したのち,2.1 基本構造 ドライバーの操作に応じてエンジンが出力すべきトルクSummary The SPCCI (Spark Controlled Compression Ignition) of Skyactiv-X poses a new challenge to the control Key words : Electronics and Control, Engine Control, Hardware and Software, Auto-Ignition Control津村 雄一郎*1Yuichiro Tsumura 木下 真幸*4Masayuki Kinoshita Tomokuni Kusunoki 楠 友邦*2寺元 亮*5 Ryo Teramoto 竹本 和洋*3Kazuhiro Takemoto 伊藤 剛豊*6 Takeatsu Ito 1.はじめにマツダ技報その実現のために新たに開発したセンサー・アクチュエーターを備えた制御ハードウェアシステムの全体像と各制御機能を紹介する。 が決定され,それに応じて適切な燃焼形態を選択し,そのための空気量・EGR(Exhaust Gas Recirculation)率・温度を備えた筒内状態を整え,筒内状態に合わせて燃料を噴射し,火花点火を行う(Fig. 1)。 2.SPCCI 燃焼の制御No.36(2019) SKYACTIV-Xでは,SPCCI(火花点火圧縮着火)燃焼を実現するため,従来のガソリンエンジンには搭載system of the engine. To use the SPCCI combustion in the real world environment, we have developed a new control strategy and various devices. Here we introduce a basic control scheme of the SPCCI, hardware system and main control functions including the world’s first mass-produced cylinder pressure sensor for automobiles and the application of the control. SPCCI燃焼によって,さまざまな環境条件,筒内ガスのPowertrain Control System Development Dept.

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る