マツダ技報 2019 No.36
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-62- 5.2 制御面での対応 燃料を精度よく噴射するためには,燃料温度・脈動,コ 5.3 制御の一例(閉弁時期学習制御) インジェクタ閉弁時の電流・電圧波形変化を元に閉弁時 をFig. 9に示した。 5. 燃料制御―高燃圧インジェクタの精密制御 6. 点火制御―リーン混合気と高圧縮比 7. 燃焼検出 Fig. 7 Transient EGR Ratio Behavior SKYACTIV-Xの燃焼が求める燃料分布,均質性を得るFig. 8 Requirement Approaching Diesel System 5.1 パーシャル~フルリフト域シームレス制御 高燃圧で微小な燃料量を噴射するためには,噴射弁を引Fig. 9 Small Injection Amount には,従来ガソリンエンジンを超えた高燃圧を用いて微小・近接多段を含むさまざまな噴射を高精度で実現する必要がある。 高燃圧・微小噴射量の要求はディーゼルエンジン向け燃料システムの領域にまで踏み込んだ厳しいもの(Fig. 8)であるが,低コストで実現するためガソリンシステムベースのソレノイドインジェクタを用いて目標達成に挑戦した。 き上げるソレノイドに通電する時間(噴射パルス幅)を短くする必要がある。一定以上短くなると,噴射弁はストッパーに突き当たって静止(フルリフト)せず,放物線を描くようにリフトして(パーシャルリフト)閉じる。従来のインジェクタでは,パーシャルとフルの中間領域で噴射弁のストッパーへの衝突に伴うバウンスと噴射特性逆転現象があるため,一定以上の噴射パルス幅しか使用できなかった(Fig. 9 左)。しかし,新型は高精度微小噴射の実現のため,衝突速度を低下させるハードウェア設計とともに,6.1 点火コイル・プラグ 高圧縮・高流動の筒内環境下でも初期火炎核を安定してA/FリーンSPCCI燃焼での着火性向上のため最適な位置7.1 筒内圧センサー 計測装置としての筒内圧センサー(Cylinder Pressure マツダ技報 各種外乱の影響を受けないよう,制御面での工夫を行うことで,最小パルス幅の限界を取り除いた。 イル温度,各種劣化・バラつき,デポジット等多くの外乱に対応する必要がある。従来制御技術を基本にしつつも,従来知見が通用しない領域について多くの制御上の工夫を施している。その実現のためには,インジェクタ部品サプライヤと共同開発した制御オブジェクトとマツダ内製制御・エンジン制御ユニットのプラットフォーム制御・駆動回路の連携が重要であった。 期を予測,バラつきを補正する一般技術に加え,初期学習の多点化・劣化への対応として運転中も通常制御に影響せず更新する制御を構築した。インジェクタ特性学習の効果形成できる高エネルギー型(SKYACTIV-G比約2倍)イグニッションコイルと超高電圧での放電に耐えうる高耐力スパークプラグを新開発した。 にプラグを突出し,流動に対する側方電極の向きを組付け時に規制している。また吸気工程で放電することであらかじめ燃料を活性化させる新たな手法も採用した。 これらの最適解を筒内ガス解析モデル,放電・燃焼の可視化,及びプラグ電極消耗予測モデルにより導き出し理想の燃焼を実現している。 量産車として世界初の筒内圧センサーを用いた燃焼検出システムについて紹介する。 No.36(2019)

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