マツダ技報 2019 No.36
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VehceSpeed[kmhGPF] t in il / PMAmoun-64- 8.2 NOxセンサー ディーゼルエンジンのSCRシステムでは採用済みであるンSPCCI燃焼の制御に用いている。センサープローブの検 ③ CPLF(Cylinder Pressure Level, Filtered) 8. 排気ガスの制御 9. おわりに 参考文献 Decision Tree (3) Timing Detected (2) Candidates Extracted Fig. 13 GPF Self Regeneration in WLTC modSKYACTIV-Xに求められる精緻な燃焼制御を実現する(1) 漆原ほか:SKYACTIV-Xを実現する燃焼技術, マツダ(2) 神田ほか:SKYACTIV-X NVH技術, マツダ技報, No.36, pp.38-43 (2019) e [s] ② 自着火時期 自着火の発生は,自着火燃焼が火炎伝ぱ燃焼よりも急速ECU内では,筒内圧力にデジタルフィルタをかけて候補(1) Digital Filter Fig. 12 Autoignition Timing Detection SPCCIの制御では,CPLFと燃焼重心,自着火時期とのCPLFを筒内圧センサーの値から毎サイクル演算して,モ8.1 ガソリンパティキュレートフィルター EGR・過給経路へのデポジット堆積を防止するため,燃知られており,それを保つように制御を行っている。 に進むことから,熱発生率の急激な立ち上がり(変曲点)によって特徴づけられる。これは,筒内圧力に現れるが,燃焼変動によりさまざまな熱発生が生じる中,どの変曲点が自着火時期か特定することはそれほど容易ではない。 となる変曲点の位置を算出し,更にその他の圧力情報から機械学習の手法である決定木を用いて自着火の位置を絞り込んで特定している(Fig. 12)。 燃焼圧力でシリンダは内部から加振され,振動はエンジンブロックを伝わってエンジン外に音として放射される。筒内圧力をフーリエ変換し,周波数ごとの減衰(Filtered)を考慮して燃焼騒音を推定する指標がCPLFである。 従来のガソリンエンジンのノック音も,ディーゼルノック音も,周波数帯域は違うが,CPLFの値によって表現することができる(2)。 関係のモデルを用い,2章の制御を通じて,燃焼騒音を適切なレベルに保つよう制御している。 エンジンブロックの伝達特性は大きく変化しないものの環境条件によって燃焼が変化すると,前記のモデルは誤差をもつことがある。そこで,SKYACTIV-Xでは,実際のデルの補正を行っている。 焼排気ガス中の粒子状物質(Particulate Matter, PM)を吸着・燃焼して浄化するガソリンパティキュレートフィルター(GPF)をマツダのガソリンエンジンとして初めて採用した。SKYACTIV-Dのディーゼルパティキュレートフィルターとは異なり,排気温度が高いことなどから車両マツダ技報 減速時の燃料噴射停止中に自己再生(吸着し堆積したPMを燃焼)させられるため,燃費等の悪化原因となる再生モード運転は一般的な運転では動作しない。Fig. 13は通常の走行では堆積しないため,別途実験的に作り出した堆積状態からWLTCモードの走行により自然と自己再生される様子を検証したデータである。 が,今回初めてガソリンエンジンで採用し,2.2節のA/Fリー出素子を自身のヒータで約800℃に加温するため,排気中の水蒸気成分・水滴の多いガソリンエンジンでは,凝縮水被水による熱衝撃割れ発生が課題となる。凝縮水発生時間の実機評価結果と排気管壁温の予測モデルを組み合わせたヒータ通電ロジックを完成させ,信頼性を確保した。 システムを作り上げる中で,世界初を含む新規デバイスを開発し,制御ソフトウェアにもさまざまな技術を導入した。今後も,これまでの限界を突破した燃焼を実現するべく制御技術を開発し,内燃機関の理想の燃焼に近づいていきたい。 技報, No.36, pp.24-31 (2019) No.36(2019)

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