る24V電圧で実現することが最適と考えた(Fig. 1)。 (2)エンジン停止領域の拡大 -67- 3. システム構成 Fig. 2 Engine Restart During Deceleration 2.2 ドライバビリティー ISGと燃焼のトルクを適切に配分することで,ドライバーFig. 3 Drivability Improvement Functions M Hybridは,従来のエンジン,トランスミッション ISGとエンジンの間のトルク伝達をベルトで行う。摩擦ブよって可能とした。従来のi-stop,すなわちスターターを用いたエンジン再始動方式では実現できなかったエンジン停止過程中の再始動を可能とし,車が減速しエンジン停止(エンジン回転数下降中も含む)から加速に転ずる際の再加速応答性を実現した(Fig. 2)。 の感覚に合う走行性能を実現する。M Hybridでは,ISGの駆動・発電トルクを活用することで,(1)ドライバーの要求加速度に対して速やかに応答し,かつ静粛なエンジン再始動と,(2)ドライバーが意識しなくても,リズムよくスムーズにクラッチをつなげられる変速操作を目指した(Fig. 3)。そのために,迅速・低振動なエンジン再始動制御と,変速時ショックを抑制するエンジン回転数制御を開発した。 構造を維持し,モーターと燃焼のトルクを適切に配分することで,上述2.1,2.2の機能を実現する。モーターには,オルタネーターに駆動機能を統合させたISGを採用し,レーキ損失分を回生するため,Brake By Wire Unitを採用し,回生協調ブレーキ機能を実現する。ISGによる回生エネルギーは24V電圧でLiBに蓄電し,LiBに蓄電したエネル2.1 燃費 (1)回生量の向上 M Hybridはi-ELOOPから回生能力を向上させ,より多Fig. 1 Relation between Regenerative Energy and System Voltage (0.216kWh)のM Hybrid batteryを採用した。M Hybrid batteryでは,リチウムイオンバッテリー(以下,LiB)を2.5倍(WLTCモード比較)の減速エネルギーを回生,蓄(i-stop比)の燃費を改善した。このエンジン停止領域のマツダ技報 No.36(2019) 本稿では,M Hybridの燃費,ドライバビリティーの改善に対する取り組みについて紹介する。 くの減速エネルギーを回生することを目指した。減速エネルギーは大きく分けて摩擦ブレーキ損失,Powertrain抵抗(以下,PT抵抗)損失,走行抵抗損失として失われる。 このうち走行抵抗損失以外の摩擦ブレーキ損失,PT抵抗損失分のエネルギーが減速回生システムで回生可能な損失である。M Hybridでは,摩擦ブレーキ損失分を回生できる回生協調ブレーキを採用し,回生能力を強化した。高電圧化すれば回生量は増加するが,システム物理量と回生量とのバランスから,摩擦ブレーキ損失分を8割近く回生できさまざまな走行シーンを想定し,1回の減速シーン (減速時間30sec)で200Aを蓄電できるように大容量採用している。以上により,M Hybridは,i-ELOOPの約電することを可能とした。 従来の停車時のi-stopに加え,車が停車するよりも前の減速中から停車までのアイドリング領域でエンジンを停止することで燃料消費量を削減し,WLTCモードで約0.5%拡大は,ベルト伝達式のISGを用いたエンジン再始動に
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