マツダ技報 2019 No.36
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(2)減速エネルギーの回生による燃費向上 (4)バッテリー寿命 (3)衝突安全性 -73- Fig. 3 WLTC Power Profile LiBの電解液に可燃性液体を用いることが一般的だが,Fig. 4 Crush Safety Concept for LiB Fig. 5 Battery Lifecycle Model LiBが劣化すると燃費性能やアイドリングストップ頻Fig. 5に示すとおり高精度にバッテリー寿命を予測可能(5)サーマルマネジメント これらによりバッテリーパックではECE-R100認証を取得し,高い安全性をもつことを立証した。 度に影響するため,お客様の使い方を考慮しながら劣化を抑制することが商品性を高めることにつながる。そのため,バッテリー寿命を予測するモデルを構築し効率的に開発を行った。 『充放電電圧』『走行中のバッテリー温度』『SOC』は制御因子,『放置中の温度』は外乱として考え,走行中のサイクル劣化及び放置中の経年劣化をモデル化した。 バッテリー劣化を表す指標として『容量』『内部抵抗』があり,所定の温度・充放電パターン・SOC範囲を設定し,バッテリーパックの実機での内部抵抗上昇率とモデルによるシミュレーション結果を検証した。その結果,なモデルを構築した。 次に構築したモデルを用いて,制御因子と外乱を振り,実車走行を想定したサイクルモードと駐車時を想定した保存モードとの組み合わせによる劣化を予測した。その結果,バッテリー温度・SOC・充放電電圧を制御することで経年時にも目標の性能を維持できることを確認した。 バッテリー寿命を確保するために走行中のバッテリー温度を所定範囲内に制御する必要がある。バッテリー温度が変動する主要因は,充放電による自己発熱,バッテマツダ技報 No.36(2019) な回生電力を蓄電し,エンジンの始動に必要な大電流を供給することが可能である。LTO電極で構成されるセルは,カーボン負極のLiBより公称電圧が低いためエネルギー密度は低い。しかし,充放電に伴う体積変化が十分小さく,信頼性を保証するための拘束部材を最小限に抑えることができる。また,セルの内部抵抗を低くし発熱量を抑えるとともに,筐体に放熱性の高いアルミダイキャストを採用している。これにより,補機による冷却が不要となるため,バッテリーパックの高密度化及び静粛性,電力効率が向上した。 減速エネルギーのうちブレーキの熱として大気に捨てているエネルギーを最大限回収するために必要な容量を決定している。WLTCモードにて必要な電力収支を カバーするには200kJは必要であり(Fig. 3),更に実用的な消費電力も考慮して十分な容量を確保している。 内部短絡や圧壊時に発煙・発火の可能性がある。一方,フロントシート下車室外では側突や床下干渉から保護するために高い安全性が求められる。 安全性のコンセプトとして3つの施策を実施している。まず,車両前面・側面・後面いずれの方位からの衝突に対しても最も有利な車両の中心(前後輪軸間及びフロアフレーム間)にバッテリーパックを配置している(Fig. 4)。 次に,バッテリーパックの筐体にアルミダイキャストを用いることで強度を保ちつつ軽量化を図っている。最後に,バッテリーパック内に高い安全性を持ったSCiBTMを採用した。

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