マツダ技報 2019 No.36
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-74- (Fig. 6)。バッテリーパック周辺環境からの熱流入は,Fig. 8 SOC Model Fig. 9 SOH Model リーパックからの放熱,バッテリーパック周辺環境からの受熱である。 内部抵抗が大きく低減したセルを採用している。バッテリーパックからの放熱量を向上させるために,セルの表面積が最も大きい面を車両下側にレイアウトするとともに,熱伝導性の高いアルミ製のケースに放熱している。 また,車両アンダーカバーのエアインテーク形状を工夫し走行風をアルミケースの下面に効率的に導入しており,空力性能を犠牲にせずLiBの冷却効率を向上させたに抑えている。また一般に,アルミダイキャストへの泥付着による腐食が課題となるが,酸洗いにより酸化皮膜除去・アロジンによる化成処理・カチオン塗装を実施し十分な腐食抑制期間を確保している。 所定の外気温・車速・充放電パターンにて実機でのバッテリー温度を検証した。その結果,Fig. 7に示すとおり,SCiBTMの劣化特性・制御により強制空冷や水冷/油冷のような冷却機能を用いなくとも,目標性能を満足することができた。 M HybridではLiBに入出力する電流が大きくなるため,CFDにより経路を特定し遮熱を行うことで影響を最小限Fig. 6 Wind Flow Model Fig. 7 Battery Thermal Model (6)状態検出 SCiBTMは通常のLiBと異なり比較的SOCの高い領域でLiB温度,SOC,SOH(State Of Health: 劣化状態)をSOCはパラメータを逐次学習する電池モデルから導出しSCiBTMの特徴として容量低下は微小であることから,SOHは内部抵抗の推定技術の構築に重点をおいて開発を劣化が抑制される傾向にあり,SOCが低いほど入力性能が高く回生による燃費効果が高くなる。また,安全性の確保と劣化の抑制のために充放電時の上下限電圧を制御する必要があり,エンジン再始動を確実に行うためには高精度に推定する技術が重要となる。 セルの最大温度,最小温度を計測可能な位置にサーミスタを取り付け,バッテリー温度をモニタしながら充放電を制御している。 起動時には開放電圧からSOC推定を行う。走行中のた起電力を用いて推定したSOCと電流積分によって推定したSOCに対して,カルマンフィルタを適用することで推定している。これにより長時間走行時でも電流積分によるSOC推定誤差を抑制し高精度化を実現した(Fig. 8)。 進めた。所定の周期にて充放電の切り替わりを検出し,電圧差ΔV及び電流差ΔIを用いて逐次最小二乗法を実行,バッテリー温度・SOCにより補正を行い推定している。その結果,目標の精度以内に内部抵抗を推定することが可能であることを検証した(Fig. 9)。 マツダ技報 No.36(2019)

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