マツダ技報 2019 No.36
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(2)自然空冷による冷却(サーマルマネージメント) (1)DC/DCコンバーターの出力容量の最適化 -76- (Fig.11 (B))を特定している。その結果,車両後方側に5. おわりに 参考文献 Specification 1.7kw (120A@13.5V) 94 x 174 x 180mm Air cooling Fig. 11 Thermal & Fluid Analysis (A) (B) 力を12V系電装品に適した電圧に変換する24V DC/DCコンバーターを採用している。主要仕様をTable 3に示す。高温に対する耐久性を必要とし,更にスペースが限られるエンジンルームに搭載するため,車両の充放電収支からDC/DCコンバーター容量を最適化し,小型化を図っている。またDC/DCコンバーターは強制ファンや水で冷却するのが一般的だが,車両の冷却機構を簡素化するため,走行風やラジエータ冷却用の電動ファンによる風流れを有効に利用し,自然空冷による冷却を実現している。 また放熱のための冷却構造はサイズに影響する。よって以下により,出力容量の最適化を実現している。 ①各季節,走行シーンにより異なる車両消費電力を算出し,最適なDC/DCコンバーターの出力容量を決定している。 ②消費電力の大きいヒーター系部品を通常の12V鉛バッテリー側から,24V電源側に接続している。これによりDC/DCコンバーターが供給する12V鉛バッテリー側の消費電力を12%低減し,DC/DCコンバーターの出力容量を最適化している。 4.3 DC/DCコンバーター 新型MAZDA3 M Hybridでは,LiBに蓄えた回生電Table 3 DC/DC Converter Specification Max Continuous Output Power @Tair≦70℃ Size(L x W x H) Cooling method (DC/DC Converter appearance) DC/DCコンバーターの発熱量は出力電流に依存する。DC/DCコンバーターの小型化を実現するためには,DC/DCコンバーターの出力容量の適正化が必要である。DC/DCコンバーターの放熱フィンに最も効果的に当たるISGによる迅速再始動や変速アシストによりドライバビ(1) 高橋ほか:減速エネルギー回生システム“i-ELOOP”(2) 高橋ほか:減速エネルギー回生システム “i-ELOOP”(2012) 車両冷却システムの簡素化を図るために,自然空冷での冷却方式を採用している。車両の熱流体解析により,流入風(Fig.11 (A))及び放熱した空気を排気する流出風フィンを配置し,車両の風流れを最大限活用することで,放熱に必要な冷却風量を確保している。これにより,エンジンルームでの自然空冷を実現している。 スモール商品群に一括で展開可能なマイルドハイブリッドを目指し,高効率かつコンパクトなM Hybridを実現することができた。減速エネルギーの回生,モータアシスト,CoM,高効率発電による燃費向上とともに,リティの改善にも貢献することができたと考えている。また,乗員の優れた快適性を備えつつ,居住空間を犠牲にせず重量等配分・低重心にも貢献するパッケージングを実現することができた。 今後も人間中心を考慮した電動化技術の開発を継続してゆく。 の開発,マツダ技報,No.30,pp.37-42 (2012) のデバイス開発,マツダ技報,No.30,pp.43-50 マツダ技報 No.36(2019)

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