マツダ技報 2019 No.36
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2)側面衝突性能 3)後面衝突性能 1)前面衝突性能 -81- Fig. 9 Load Path for Side Crash 3.2 衝突安全性能(安心・安全) 新型MAZDA3では,980MPa以上の超高張力鋼板の使(Fig. 7)。 Fig. 7 Material Strength of Sheet Metal Fig. 8 Effect of High Energy Absorption Concept とCピラーに荷重を分散する考えを新たに採用した。側前モデルより更にリアルワールドに近づけ,かつ物理量ミニマム化を実現するために,エネルギー吸収量分担,すなわちマルチロードパスを進化させることで,より強固なキャビンを実現した。従来の考え方では側面衝突性能を追求するとルーフへの機能配分量を高める必要があるが,車両前後方向への荷重伝達比率を高め,Aピラー面からの衝突荷重を効率的に分散させることで,衝突時における乗員生存空間を確保した(Fig. 9)。 前述のマルチロードパスの進化,具体的にはリアドア開口部に骨格を配置し,衝突時における乗員生存空間を確保した。 またキャビン以外の荷室空間でエネルギー吸収を向上させるために,衝突時のリアフレーム変形挙動を曲げから蛇腹変形による軸圧縮にすることで効率的かつ持続的なエネルギー吸収を実現した。 この蛇腹変形を実現するため,周辺部品のレイアウトを工夫し,効率よく荷重を受け止められるフレーム断面の高さ・幅及び形状を決定し,断面を真っ直ぐ通すとともに,フレームの変形挙動を分析し,変形周期に逆らわないようにフレームの側面・下面に変形の起点となるビードを配置した。 これによりフレームを安定して潰すことを可能にし,従来構造と比較してエネルギー吸収効率を約2倍に向上させた(Fig. 10)。 マツダ技報 No.36(2019) 用比率を先代モデルの約9%から約30%へと飛躍的にアップさせ衝突安全性能の向上と軽量化を両立した。 例えば,1310MPa級の超高張力鋼板は車体構造用冷間プレス部品として世界初採用であり,この材料を適用した箇所において前モデル比で15.7%の軽量化を実現した前述の超高張力鋼板の積極的採用に加え,高エネルギー吸収フレーム構造を採用することで,前面衝突時のエネルギー吸収効率を上げ,エネルギー吸収に必要なスペースを低減することを可能にした。これにより従来と同じスペースでより大きな衝突エネルギーを吸収でき,衝突安全性能を向上させた(Fig. 8)。

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