マツダ技報 2019 No.36
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(2)アウターハンドル (1)シールの連続性追求 Fig. 5 Relationship between Functions and Door Parts -85- (TPE)製グラスランチャンネルによるヒドゥンサッシュ 2.4 室内へ透過・伝ぱする音の低減 この節では,技術コンセプトである「壁の穴隙ゼロ化」Fig. 4 Section of B-pillar Garnish 型MAZDA3では,マツダ初の「熱可塑性エラストマーFig. 6 Wind noise around Outer Handle Fig. 7 Outer Handle Appearance 「通気経路ゼロ化」の技術コンセプトに基づき,通気による車外騒音発生を抑制した,新構造のアウターハンドルを開発した。空力騒音に関しては,先述の通り,「渦に起因するもの」と「通気に起因するもの」に大別できるが,先代アクセラのアウターハンドルに関しては,後者が支配的であった。これは,グリップ部分の可動に必要な隙をキャップとの間に設けていることで,走行時にその隙間から空気が吸い出される現象が発生していたことが要因である(Fig. 6)。 今回開発したアウターハンドルは,グリップ部分をキーシリンダー部分まで一体化にするとともに,グリップとドアパネルとのタッチ面をハンドルシートでシールする構造とすることで,通気音の発生を無くした。また,キーの挿入部を意匠面に出さない構造や,アドバンストキーレスエントリー操作用ロック/アンロックスイッチのタッチセンサ化によって,マツダデザインが掲げる「引き算の美学」との両立を図った(Fig. 7)。 と「多重壁化」によって,音の伝ぱ・透過を抑制する考え方と構造を説明する。まず「壁の穴隙ゼロ化」に関しては,隣接する部品同士の合わせ部やシール部分に至る全ての領域で徹底的な構造対策を織り込みした。その中で特に注力した「シールの連続性」と「インナーパネルエリアの穴隙ゼロ化」について,詳しく説明する。 技術コンセプトである「壁の穴隙ゼロ化」はシールの理想状態である,「必要なシール圧とシール幅を保ち,連続シールする」にも通じる考え方であり,シールに対しても同コンセプトを適用し,開発した。 マツダ技報 No.36(2019) ラーとフロンドドアサッシュの隙間と段差部に起因する騒音の対策として,パーティング隙を塞ぐパーティングシールが有効であることが判っている。この知見に基づき,キャビン周りの各パーティング隙部へ,パーティングシールを設定した。 これらの機能を最小の寸法と物理量で実現するため,新構造」を開発・採用した。先代アクセラのサッシュ構造との大きな違いは,部品に対する機能配分である。従来構造は,ドアガラス保持はグラスランチャンネル,シール機能はウェザーストリップ,外観意匠はサッシュモールというように,部品ごとに担う機能を設定していたが,新構造ではグラスランチャンネルへ従来から有するドアガラス保持機能に加え,サッシュモールの持つ外観意匠とウェザーストリップが担っていたパーティングシール機能を集約,ウェザーストリップはプライマリーシール機能のみに特化し構造を簡素化,サッシュモールは廃止した。本構造により,ドアガラスとサッシュの段差縮小や,窓枠の幅を先代アクセラ比で20%細くし,意匠性も向上させた(Fig. 5)。

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