マツダ技報 2021 No.38
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―3― MX30の開発では初期に,想定されるターゲットカスタマーの心根を感じ取りにいく活動が実施された。シリコンバレーで起業間もない若者たち,新進のデザイナー,高度なスキルを身に着けスペシャリストとしての生き方を模索する人達,まだチャレンジャーである彼らがこれからの未来の何に価値を見出し,何を志しているのかを,主査,プランナー,マーケッター,エンジニア,そしてデザイナーでチームを組み,彼らの職場や自宅でインタビューを行った。このような広範囲のメンバーによる密度の高いチーム活動を,開発初期からの商品導入コミュニケーション立案まで継続したのは稀なケースである。この活動がコンセプトの軸となり,困難を乗り越えるための基礎となった。結果,チームは「私らしく生きる」という極めてシンプルな答えに辿り付く。彼らはミニマリスティックに好きなモノに囲まれ,好奇心や能力を生かし,利他的に貢献することにモチベーションを感じていた。祖母から受け継いだ家具を愛用し,古い工場をリノベーションした職場で働く等,先端を生きる人達のイ*1  デザイン本部 2.1 ブランド進化の中で マツダデザインは「魂動」の哲学の下,フェイズ1商品を群として構築してきた。一括開発による商品力の底上げと,何よりマツダのブランドの認知を高めるためである。その成果は確実に表れ,各国でのさまざまな賞の受賞や,カスタマーからの高い評価をいただいている。そして新型MAZDA3から始まるフェイズ2の商品から,表現の幅を広げることを進化の一つの道筋にしている。1. はじめに2. デザインコンセプトKey words:Vehicle development, Design, Exterior/Interior, Color, Kodo, Sustainable, Cork, Electrificationas growing awareness of environment and social contributions and ITbrought innovations in life style and globalization. Mazda seeks to join hands with those who are positive and determined to go about their everyday lives in the times. We have materialized our challenges as a vehicle by utilizing the change of powertrain as a good opportunity. Here was the origin of all the aspects of MX30.Design Div.Youichi MatsudaMX30 のデザインDesign of MX30メージであるアーリーアダプターとは違う側面が見えてきた。ターゲットカスタマーとの議論の中で,マツダが示したイメージビジュアルの中の未来的なイメージに対して,「あなた(デザイナー)の描いた未来は半年後も未来ですか?」というコメントが寄せられた。演出されただけの未来は訪れないかもしれない。だとしたらそれは直ぐに価値を失うということである。このことは時として自己表現の一面を担い常に変化を生み出さなければいけないとされるデザイン開発視点からすると,海図のない航海に乗り出せというような示唆であった。要 約 クルマに縛られずに新しい価値を創造する。これがプログラムチームに課されたミッションである。環境や社会貢献意識の高まり,ITがもたらすライフスタイルの変化やグローバル化等,CASEの定義にかかわらず人々の生活に大きな変化が起きていることは周知のことである。この時代を前向きに生きていく人々とマツダは手を結びたい。そんなチャレンジングなクルマをこのパワートレインの変化を好機としてリアルなプロダクトとして生み出す。MX30誕生の全ての起点がここであった。Abstract“Creating new values irrespective of vehicles” - this is the mission given to the program team. We should pay attention not only to technology development for CASE but also to the significant changes in people’s lives such 松田 陽一*1特集:MAZDA MX3001

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