マツダ技報 2021 No.38
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―4―3. エクステリアデザインFig. 1 Design Positionng in KODO DESIGN3.1 マツダらしさと新しさの実現 魂動デザインでは,クルマに生命観を与え,見る人の感情に訴えかけることに重点を置き,より要素を研ぎ澄ましながら深化を進めている。これは要素を省いていくことが目的ではなく,研ぎ澄ますことでアートのように見る人の心に深く印象付けることを目的としている。MX30がマツダのブランドの一員である以上ここは変わらぬ探求すべきポイントである(Fig. 2)。Fig. 2 Exterior Production Image 1Fig. 3 Method of KODO FormFig. 4 Mazda-ness Details3.2 フリースタイルドアとシルエット 電動化のリーディングモデルとして,Mild HEVからBEV,ロータリー搭載と幅広くパワートレインをプロテクトする車両デザインのハードポイントとして最も大きな存在となるのはバッテリーである。最低地上高を確保した上でバッテリーを敷き詰め,その上にキャビンを構成するとサイドビューの厚く重いイメージが付きまとう。特にシルエットの中でキャビンの存在感は鍵となる。その中でも居住空間と乗降性は人に依るもので大きく変えられない。開発の途中シルエットの重苦しさは常に課題として付きまとっていた。またプランナーも新しい価値を創造するミッションに対し,既成概念にとらわれない創造的な使い方について,機能的提案に限界を感じる状況が続いていた。そのような中,チーム内に展開されたメールに張られたリンクが話題となった。それはRX8のフリースタイルドア(以下FSD)を下肢の不自由なオーその中でMX30のポジションは,スモールプラットフォームによる電動化のリーディングモデルである。ビジネスピラーモデルの進化が示される中,既存カーネームに縛られないデザイン表現の可能性を模索することで, 今後のブランドの広がりのヒントを生み出すことが開発当初から期待された(Fig. 1)。 基本立体は,ウエッジシェイプを抑制しキャラクターを廃したサイドビューでスタティックな印象をねらっている。そこにフロントエンドとAピラートップに塊と力点を置きながら後方に勢いを抜くことで,強い塊の中に動きと軽やかさを両立させている。更にボディー平面視をダイナミックなバレルシェイプ(樽型)とし,前後の絞り込まれた部分にしっかりとタイヤがトラクションを感じるように踏ん張るデザインを基本構成としている。このことでシンプルな塊感の中にスタビリティーや躍動感を2次的に感じることになる。またベルトラインとショルダーをクルマの前後を貫き通す背骨ととらえ,そこを起点にボディーの中心軸に対して収斂していくようなサーフェイス構成とし立体に意思を持たせるようにまとめ上げている。つまりフィーチャーといえるメッセージは省きながら,造形の基本骨格で強い生命観を感じる要素はもれなく織り込んでいるのがMX30の立体である(Fig.3)。 エクステリアのパーツ類ではマツダらしさの表現として,ランプ周りの丸をモチーフにしたミニマルなマシン感と瞳感があり,また彫りの深いグリルによる意思を感じる表情を意識して作り込むことにより,生命観が基礎としてある立体造形と合わせてシンプルさの奥に人格を感じさせるようなキャラクター実現している(Fig. 4)。

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