―105―1. はじめにKey words:Rust prevention, Reliability, CFDIn order to optimize the quality of anti-corrosion for vehicle, it is necessary to quantify corrosion environment of each component and provide appropriate treatment according to the environment. However, it takes much time and cost to measure corrosion environment on vehicle because a vehicle is composed of tens of thousands of parts. For the e■cient development of anti-corrosion performance, we have worked on developing the splash simulation, focusing on the amount of water received on the vehicle while running, which is the most important factor to predict the corrosion environment for each component and developed the splash simulation. We have replicated splash behavior from own tire by utilizing the Moving Particle Simulation (MPS) as the CFD (Computational Fluid Dynamics) method. Furthermore, we have developed the highly accurate prediction of the amount of water received by conducting a water-airflow velocity coupled analysis around the vehicle.Vehicle Testing & Research Dept.Satoshi MaruyamaTakakazu YamaneField Quality Dept.Akihiro TsuchiyaTakashi KamiokaToshihiro YoshidaKatsuya OchiiwaPrediction of Amount of Water Received for Vehicle by Using Splash Simulation要 約 自動車の防錆品質の適正化のためには,部品ごとの腐食環境を定量化し,それぞれの環境に応じた防錆処理を施す必要がある。しかしながら,車両の構成部品は何万点にも及ぶことから,実車での腐食環境計測には膨大な時間,コストを要する。そこで,防錆開発の効率化のために部品ごとの腐食環境を予測する上で最も重要な因子である走行中の部品ごとの被水量に着目し,被水シミュレーションの開発に取り組んだ。流体解析手法としてMoving Particle Simulation (MPS) 法を活用することでタイヤからの水跳ね挙動を再現し,更に車両周りの気流速度データとの連成解析を行うことで,極めて高精度な被水量の予測技術を確立した。Abstract 腐食とは金属と水の電気化学反応であり,金属表面に形成する水膜の性質とその持続時間の影響を強く受ける。自動車の腐食を促進する因子としては,車体に付着した塩が挙げられる。塩の付着量が多いほど,水膜中の電気伝導度が増加し,その吸湿作用により水膜の持続時間が長時間化する。従って,東南アジアに代表される飛来海塩が多い地域と,欧米の寒冷地に代表される冬季に凍結防止塩を散布する地域では腐食起因の車両故障が問題となる(1)。このような問題を起こさないためには,地域ごとの腐食環境を定量化し,適切な防錆処理を設定する必要がある。そこで,走行中の自動車各部位の腐食環境を定量的に測定可能な腐食環境計測システムを構築し(2)(3),本システムにより得られた計測データと走行地域の気象*1~5 車両実研部 丸山 慧*1土屋 明宏*2吉田 敏弘*3山根 貴和*4上岡 孝志*5落岩 克哉*6データを関連付けて,大規模データを解析する技術を開発した。その結果,気象データを元に海塩地域における腐食環境が予測可能となった(4)。更に,本手法を発展させることで,凍結防止塩散布地域における気象データを元に腐食環境を予測する技術を開発した(5)(6)。これらの成果により,気象データを元に地域ごとの腐食環境については,おおむね予測が可能となった。一方で,車両の部品ごとの腐食環境を定量化するためには,現状何万点にも及ぶ車両の構成部品の腐食環境を計測する他なく,そのためには膨大な時間,コストを要する。そこでマツダは,部品ごとの腐食環境を予測する上で最も重要な因子である走行中における被水量の予測技術を確立した。本稿では,凍結防止塩散布地域を対象として,新規に開発した被水シミュレーションを用いた被水量の予測結果と実車試験結果との比較を行い,その精度を検証した結果について報告する。*6 市場品質部 論文・解説19被水シミュレーションを用いた実車被水量の予測技術
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