マツダ技報 2021 No.38
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―107―4. 被水シミュレーションの開発10 mm 2 mm Road model Velocity Tire rotation 45° Tire outlineInflowFig. 3 Splash Behavior From Own Tire at 60km/h4.1 シミュレーション条件(1)タイヤによる水跳ね 自車のタイヤによる水跳ねのシミュレーション化は,水たまりを模擬した試験路モデル上で車両モデルを走行させることで行った。試験路モデルは路面モデルと水たまりから構成されており,幅2.6mの路面モデル上に水深10mmの水たまりを設定した。このとき,水たまりは粒子径が2mmの粒子に対して密度や動粘性係数といった水の物性を付与し,路面モデルとの境界条件を与えることで作成した。車両モデルについては20,40,60km/hの車速に応じた車両前方への進行速度を与え,車両モデルのうちタイヤとホイールに対しては,車速20,40,60km/h相当の回転速度を与えることで,水粒子にタイヤから圧力を与え,タイヤによる水跳ねを模擬した(Fig. 4)。Fig. 4 Simulation Condition for Splash from Own Tire(2)前走車からの水跳ね 前走車からの水跳ねのシミュレーション化は,ノズルに相当する水の流入口を設け,車両前方から粒子を飛散させることで行った(Fig. 5)。粒子径は2mmとし,密度や動粘性係数といった水の物性を付与した上で,飛散する速度や量といった試験条件は実車試験に揃えた。このとき,水の飛散に対する車両周りの風流れの影響を評価するために,気流速度有無のCase1とCase2の2つの条件で解析を行った(Table 1)。 このとき,Case2では,粒子に対して空気抵抗力を作用させるために,外部の流体解析ソフトを用いて取得した車速100km/h相当の車両周りの気流速度データをインポートした。更に,インポートした気流に対して粒子が追従するよう,抗力係数のパラメーター設定を行った。一方で,Case1では上記の気流速度データのインポート及びパラメーター設定は行わずに解析を行った。Fig. 5 Simulation Condition for Splash from Vehicle Table 1 Simulation Conditions about The Two Cases PropertyAirflow VelocityParameter SettingNone4.2 シミュレーション結果(1)タイヤによる水跳ね 車両後方からとらえた自車のタイヤによる水跳ねのシミュレーション結果と実車試験の結果を比較してFig. 6に示す。車速の増加に伴いタイヤからの水跳ねの最高到達高さは高くなる一方で,その飛散角度はおよそ45°で一様であり,実車試験における水跳ねの挙動をよく再現できている。(a) Fig. 6 Comparison of Splash Behavior from Own Tire at 20km/h (a, d), 40km/h (b, e) and 60km/h (c, f)between Experiments (a, b, c) and Simulations (d, e, f) Aheadfor Splash from Vehicle AheadCase1Imported from Other CFDNoneProvides Drag Coe■cientCase2(b) (c) (d) (e) (f)

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