マツダ技報 2021 No.38
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(2)溶湯衝突曲りのモデル化 溶湯衝突曲りのメカニズムは,Fig. 5に示すように,鋳抜きピンを金型に差し込まれた側を固定端とした片持ち梁として,溶湯衝突による分布荷重が作用して振動(たわむ)する物理現象(=モデル)と考えられるので,分布荷重に対する弾性体のたわみ式によるモデル化が適切である。 より―113―h0h0F H0 H W X h’’ h’ h0 Fig. 5 Cantilever Model of Core PinFig. 6 Core Pin in The State of Both Ends Fixed BeamFig. 7 Equilibrium of Forces at Fixed End BeamFig. 8 Illustration of Variables in Equations (a, b, c)……(a)Xv/Hv+(1+123Wh1922=) X2 hh−=−2) 2xF1/−−≥EI+′h11(ε)1{(/)}FEA(1EA≥′′=Slide Core 1 Fixed End Deflection Uniform Load by Molten Metal Free End (with Gap) Slide Core 2 Axial Load Compressive Load Compressive Load Load by Collision of Molten Metal Displacement by Axial Load ststst=h0h0Axial Load Displacement Distribution Displacement by Bending Load  自由端の変位量は,曲げモーメントを一定とした場合,ヤング率と断面二次モーメントに反比例するが,どちらの変更にも制約がある。例えば,必要な断面二次モーメントをたわみ量から算出すると鋳抜きピン径がΦ30mm以上必要であり,製品形状が成立しない。一方,片持ち梁はたわみが発生しやすいので,自由端側を固定端化するという考え方もある。ただ,自由端のない1本の鋳抜きピンの両端を金型で固定してメインオイルギャラリ穴を成形すれば両端固定梁に近い状態になるが,長い鋳抜きピンを離型するためのスライドストロークを確保するために,設備や金型汎用部の改造が必要になる。更に,抜き勾配によって,鋳抜きピンが太くなる。そこで,現状の鋳抜きピン2本を対面させる方式で,互いのピンが押し合うことで疑似的な両端固定梁を構築した。 このときの力のつり合いモデルをFig. 6,7に示す。軸荷重をかけて押し当てた鋳抜きピンは接触面が一致して一様な圧縮荷重が発生した両端固定梁状態となっている(Fig. 6)。その状態で溶湯による横荷重を受けると,鋳抜きピンの突き当て部では,圧縮荷重による縮み変位に加えて曲げ荷重による縮み変位と引張り変位が発生する(Fig. 7)。このときに,曲げによる引張変位が軸荷重の圧縮変位より大きいと,接触面が開いてしまい,突き当てを維持できなくなって隙間が発生する。その瞬間に,突き当て面にアルミが差し込むことで曲がって成形されてしまう。 以上より,溶湯衝突による曲りを抑制するためには,鋳抜きピンを突き合わせる軸荷重制御が必要である。そのときの軸荷重:Fを求める関係式をFig. 8以下に示す。両端固定梁状態の鋳抜きピンに軸荷重:Fが作用しており,溶湯衝突荷重:Wが加わって,式(a)に示すたわみ量:Xが発生している。片側の鋳抜きピンに着目すると,h0からh′ 圧縮変位すると同時に,Xのたわみ量が発生していることで見かけ上は長さ:h″ となっている。このとき,見かけ上の鋳抜きピン長さ:h″ が元の長さ:h0より短ければ,接触面全面に圧縮応力が働いていることになるため,接触面が開かないと判定できる。その判定式を(b)に示す。判定式を基に,軸荷重:Fを求める式に展開したのが式(c)である。式の中で,鋳抜きピン径,長さ,断面形状については製品機能要求から決まり,溶湯衝突荷重については溶湯湯流れシミュレーションを使って算出する。ただし,vここで,′=……(b)……(c)ここで,X:たわみ量[mm],E:ヤング率[MPa],W:溶湯荷重[N],I:断面二次モーメント[mm4],νst:静荷重でのたわみ量[mm],H0,h0:元の長さ[mm],H:変形後の長さ[mm],F:荷重[N],h′:片側ピン長さ[mm],h″:見かけ上のピン長さ[mm]

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