<15<30<60<130130≧―129― Weld bead Base(FCD600) Tool grip displacement Muscle of arm with tool Fig. 4 Test Piece of ExaminationClassClass5:TakumiClass4:UpperClass3:Pre-upperClass2:IntermediateClass1:Beginner4.2 技能のメカニズム解明手法 技能伝承システムでは,身体動作及び筋骨格に関する情報を取得できる。身体動作は,モーションキャプチャーにより,身体とツールに取り付けた44個のマーカーの位置情報に加え,19個の身体部位(頭・首・胸・左右肩・左右上腕・左右前腕・左右手・腰・尻・左右腸骨・左右膝・左右足)及びツールの重心位置情報を取得できる。筋骨格は,筋骨格モデリングシミュレーションにより,筋活動量や腰椎間反力などの身体負荷に関わる情報を取得できる。これらはモーションキャプチャーで得た身体動作情報を基に算出され,筋活動量は全身921本の筋肉について算出される。筋活動量は,最大可能筋力Fmax[N] に対する筋力F[N] の割合であり,単位は[%]で表される。 技能のメカニズム解明では,これらの情報から匠技の特徴を抽出した。その手法は,多変量解析の一つである主成分分析を活用した。主成分分析は,多数のデータ(以下,説明変数)を集約することで特徴を抽出する手法である。今回対象とした溶接技能の動作は外的変化が少なく,モーションキャプチャーから得られる外見の動きだけでは技能の特徴を抽出しきれないと考えた。そのため,説明変数に筋骨格モデリングシミュレーションから得られる筋活動量の情報を加え,身体内部からも技能の特徴を抽出し,Table 2に示す計73種の説明変数に対し,主成分分析を行った。Table 2 Explanation VariableDetailsCenter of gravity of 19 portions of each bodyDisplacement, Velocity, Acceleration of XYZ axesDisplacement, Velocity, Acceleration of XYZ axes13 portions of each bodyFig. 5 Principal Component ScoresWelding area (70mm×30mm) 45° Mounting jig Takumi Upper Muscle of lower body Pre-upper Intermediate Beginner Velocity of trunk Muscle of trunk 0 100 200 Unit:Point Area of defect of welds [mm2]Center of gtravity of bodyCenter of gravity of toolAmount of muscle activity4.3 匠技の特徴 主成分分析から得た重要管理項目について,「ツール動作」と「作業安定性」の視点から匠級技能者の特徴を明らかにした。匠級技能者と初級技能者の比較事例を紹介する。Quantity5713Total: 733 匠級技能者1名,上級技能者2名に対し主成分分析を行い,累積寄与率が60%以上となる第5主成分までのデータで評価を行った。ここで,技能者個人に特化した特徴でなく,上位階級に共通する特徴を洗い出すため,上位階級3名の主成分分析結果を合成した。また,主成分分析では,各主成分に寄与度の高い説明変数を得ることができるため,上位10個の説明変数を各主成分の重要管理項目とした。次に,この重要管理項目を基に,第1主成分から第5主成分の特徴づけを行い,第1主成分から順に,「ツール把持部変位」「体幹速度」「接地部位筋力」「体幹筋力」「ツール操作筋力」とした。この特徴づけした5個の主成分を匠技の重要因子とし,主成分スコアを計算した(Fig. 5)。主成分スコアは,上位階級の方が高い傾向になっており,肉盛り溶接技能の特徴量を5つの主成分で定量的に表現できていると考えた。この主成分スコアは,訓練者と匠級技能者を比較し,評価に活用した。 評価する溶接品質は,溶け込み不良,巣,欠肉を対象とした。以降,まとめて溶接欠陥と呼称する。これらの溶接欠陥は,肉盛り部分をフライスで切削除去した後,その面を三次元測定機で測定し,溶接指示範囲内で溶接欠陥が占めている面積を算出した。その平均値と標準偏差を基に技能階級の閾値を設定した(Table 1)。Table 1 Area of Defect of Welds in Each Rank
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