マツダ技報 2021 No.38
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(1) 腐食コスト調査委員会:わが国の腐食コスト,材料と環境,Vol.50, pp.490-512(2001)(2) 浅田照朗ほか:塗装部の新規耐食性短期評価法の開発,及び防錆技術開発・品質管理への活用,自動車技術会学術講演会講演予稿集,No.42-17, pp.1148-1151(2017)(3) 石井均:自動車車体用リン酸亜鉛処理,表面技術,Vol.61, No.3, pp.232-238(2010)(4) 石井均:リン酸塩処理の基礎,表面技術,Vol.61, No.3, pp.216-222(2010)(5) 中山隆臣:塗装前処理としてのリン酸塩処理,表面技術,Vol.64, No.12, pp.640-644(2013)―138― 浅田 照朗 重永 勉 4. おわりに 塗装部の防錆機能は,➀腐食抑制期間(塗膜が腐食因子を遮断して錆が抑制される期間)と➁腐食進展速度(塗膜下で腐食反応が起きて錆が進展する速度)で整理でき,その双方を塗膜の性能発現メカニズムに基づいた,モデルベース研究開発手法を活用して定量評価する技術を開発した。腐食抑制期間は,塗装面上に電解質溶液を保ちながら,塗装金属材の鋼板と塗膜表面との間に時間に対して徐々に増大する電圧を印加し,水とイオン物質を強制的に塗膜に透過させ,通電により塗膜が絶縁破壊するときの電圧値に基づいて定量評価できることがわかった。塗装仕様をさまざまに変化させた試験片を用いた検討から,この絶縁電圧と実腐食試験における錆発生までの期間には高い相間(R2=0.92)が認められ,電着塗装の膜厚と膜質(架橋密度)が影響する腐食抑制期間を本評価技術で精度良く測定できることがわかった。腐食進展速度は,塗装面上に電気化学的にアノードとカソードを個別に形成し,腐食を促進させ,カソード側に発生した塗膜膨れの大きさと電流印加時間との関係に基づき定量評価できることがわかった。腐食進展速度に影響を及ぼすと考えられる電着塗装の膜質の影響に加え,化成処理条件の違いによる性能差も定量的に評価可能であることが分かった。■著 者■江﨑 達哉参考文献佐々木 將展 髙見 明秀

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