マツダ技報 2021 No.38
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(2) 評価方法 本評価では圧縮負荷過程の材料内部の変形挙動を撮像する必要があるため,独自に設計した装置を用い評価した。a. 試験片と圧縮負荷条件 評価には母材をエポキシ樹脂,繊維に東レ㈱製炭素繊維のT700SCを用いた。エポキシ樹脂は日鉄ケミカル&マテリアル㈱にて独自開発したものを用い,オートクレーブにて成形後,機械加工にて試験片形状に切り出した。Fig. 5に試験片形状とIn-situ圧縮試験装置の概略図と外観を示す。In-situ圧縮試験装置のインナーケースとアウターケースについては,X線の透過率を考慮した材料・板厚としつつ,必要な解像度から検出器との距離等を考慮した寸法としている。また,上部にアクチュエーターを設け,撮像時に負荷を掛けられる機構とした。―141―3. 実験結果Energy (keV)Exposure Time (sec)Deforcus (mm)Image Resolution (nm/pixel)The Number of Pixels (pixel)Fig. 6 Measurement Methods of Projected and 3.1 荷重特性 今回用いる試験片は,一般的なCFRPの圧縮強度を取得する試験片よりも評点部の寸法が小さい。そのため材料の不均質性や亀裂進展の影響の差から,評点部の寸法が小さくなることにより強度が変化する,寸法効果が発生するリスクや,治具・タブ構造の剛性等により適切な圧縮負荷できないリスクがある。そのためIn-situ圧縮試験装置の妥当性確認のため,JIS K7018 Type A2に準拠した一般的な圧縮強度との比較を行った。圧縮試験装置治具での圧縮強度の評価はFig. 7に示すとおり,同一の試験片・タブと圧縮試験装置の内管を切り出した物を組みたて万能試験機にて圧縮した。計測した強度の比較結果をFig. 8に示す。JIS規格とIn-situ圧縮試験装置で取得した圧縮強度には大きな差はなく,適切な圧縮試験が出来ていることを確認した。Projected Xray CT150.1203252048×2048×2048Imaging Xray Micro CTImaging Xray CT100.4872048×2048×11482Fig. 4 Exterior of SPring-8(6)Fig. 5 In-situ Compression Test Equipmentb. 評価条件 X線CT撮像にあたり,試験片挙動の全体をとらえることを目的とした投影型と,視野範囲は狭くなるが,より明瞭に現象をとらえることが期待できる結像型の2つの方法で撮像を行った。投影型と結像型の評価手法の差をFig. 6に,評価条件と画像の情報をTable 1に示す。一般的なCT撮像方法である投影型は,試験片を透過したX線を直アンジュレータ放射光源を利用することで,試料のX線透過性を維持しつつ,内部投影コントラストに差が出るような放射光の波長条件を選び,目的に適うように繊維と樹脂を分別可能とする方法を見出した。その放射光CT撮像にはFig. 4に示すSPring-8のBL24XUを使用した。接検出器で撮像するのに対し,結像型はフレネルゾーンプレートを用いる。可視光顕微鏡と同様に,直接拡大した上で撮像を行うため,高い分解能を得らえる撮像手法である。本計測でも,理論的な分解能は投影型に対し結像型は約4倍に向上した。一方で,視野は検出器の容量に律速するため,4分の1に狭まる。この2条件での撮像を行うことで,キンク発生部位の特定をすると同時に,キンク発生直前の繊維界面の剥離の有無まで含めて評価する。Table 1 Detail of Test Condition and Resulting Image

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