マツダ技報 2021 No.38
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―142―Fig. 10 3D Image before and after Maximum Force 最大荷重発生後の3D画像から,繊維方向の断面画像を示したものをFig. 11に示す。板厚の中央部と表面部で破断後の繊維の向きは異なるが,繊維の破断面を確認することができた。ここから繊維の初期破断時のせん断帯の角度を算出すると25度であり,先行文献で示されるキンクバンドの発生角は20度から30度(8)と一致することが確認でき,想定どおりの現象が発生していたことが予測される。Fig. 11 Measurement Results on Fiber Direction after  次に評価技術について述べる。モデル化には現象解明のための可視化だけでなく,構築したモデルの精度検証も必要である。実機と解析で定量比較するには,Digital Image Correlation (DIC) 等による表面ひずみの評価技術が有効であるが,今回は材料の内部まで含めた評価と,μm単位の変形を追従する必要があるため分解能の向上が必要となる。そこで,炭素繊維や樹脂内部のマーカーを特徴点として利用したDigital Volume Correlation (DVC) を用いた評価技術(7)の開発も行った。評価事例をFig. 12に示す。Fig. 10の最大荷重発生前の3D像では確認できなかった,各座標方向の変位を確認することができる。また変位量も連続的に移り変わっており,一定の妥当性があることも確認できた。Fig. 7 Evaluation of Compression Strength in a Simulated In-situ Test EquipmentFig. 8 Comparison of Compressive Strength between JIS K7018 Type A1 and In-situ Test Equipment3.2 撮像結果 無負荷状態における,繊維直行方向の撮像結果をFig. 9に示す。撮像の目的は,繊維の正確なアライメントと繊維界面の剥離状態を確認することだが,投影型でも繊維と樹脂を明確に判別可能で,目的を達成できることが分かる。結像型では更に繊維と樹脂の境界が明瞭にとらえられており,より精度の高い情報を期待できる。以上から,ミクロモデルの構築に有効な画像を取得可能であることを確認できた。Fig. 9 Comparison of Measurement Results between Projected Xray CT and Imaging Xray CTMaximum Force is Generated 次に投影型X線CTで撮像した画像から構築した,最大荷重前後の3次元画像をFig. 10に示す。最大荷重が発生する直前では初期の矩形形状を維持しているのに対し,最大荷重発生後ではせん断帯が発生し,試験片が完全に破断していることが確認できる。しかし,先行文献のような破断前に発生する微小領域での繊維の局所座屈は観察できなかった。これは先行文献に対し,炭素繊維の含有率が高く,局所座屈が発生した後の飛び移り現象が急激に起こるため,キンクが発生した状態で現象を留めることが困難だったためと考えられる。

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