マツダ技報 2021 No.38
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―147―Fig. 12 Results of the Vibration Test of the Test PieceFig. 11 Vibration Test of Test PiecesFig. 9 Result of Principal Component Analysis (Car Body Performance and Material Properties) 車体性能と構造因子の関係性を示した結果をFig. 10 に示す。この結果から,部品の断面高さに関する因子は,車体ねじり剛性とフロア振動モードのモード減衰比に対し正の相関にあり,部品の断面幅に関する因子は負の相関にあることが分かる。このことから,部品性能としては,高さ方向の曲げ剛性の確保が必要なことが分かる。また,部品の幅方向の因子は負の相関性があることが分かる。このことから,部品の高さと幅のアスペクト比が影響するねじり剛性に関しては,下げる方向へ制御する必要があると推測することができる。Fig. 10 Result of Principal Component Analysis (Car Body Performance and Structural Properties)4. 解析結果の検証4.1 材料因子の制御指針の妥当性検証 材料の剛性については,複合則のなどの古典理論から妥当性を理解できることから,今回は,モード減衰比の制御因子について,減衰発現メカニズムを基に検証した。(1)減衰性向上因子の制御指針 逆解析の結果,樹脂間の相互作用の向上,つまり樹脂の分子鎖の絡み合い度合いを高くすることで,減衰性能が向上することを示唆している。これは,減衰発現メカニズムとして,材料内部の分子鎖間摩擦による熱エネルギー変換と散逸によるものと考えられる。樹脂の分子鎖の絡み合い度合いが高くなれば,分子鎖間摩擦が発生する箇所が多くなることから,減衰性能が向上するものと考えられる。(2)減衰性向上指針の妥当性検証 汎用エポキシ樹脂と,樹脂間の相互作用を向上させた改良エポキシ樹脂を使用した一方向性CFRPの短冊試験片を試作し,試験片端部加振による加振点応答から減衰性能を計測した。Fig. 11 に試験方法を示す。より,正の相関があるか負の相関があるかを示している。 車体性能と材料特性の関係性を示した結果をFig. 9 に示す。この結果から,樹脂と繊維間の相互作用,繊維剛性は車体ねじり剛性にのみ寄与することが分かり,樹脂間の相互作用は,フロア振動モード時のモード減衰比向上に寄与することが分かる。また,樹脂の剛性に関しては,車体性能に対し,負の相関があることが分かる。このことから,これらの因子は,車体ねじり剛性とフロア振動モードのモード減衰比の向上に有効であることが分かる。一方で,繊維間の相互作用に関しては,ねじり剛性には正の相関があり,フロア振動モード時のモード減衰比には負の相関がある。このことから,繊維間の相互作用では,車体ねじり剛性とフロア振動モードのモード減衰比の両立が困難であると推測できる。 以上から,構築した解析技術によって,車体性能を確保するために必要な材料の制御指針と,構造の制御指針を導出することが可能である。 なお,減衰性能の計測は,性能を顕著に測定できるねじりモードで実施しており,対象とするねじりモードの特定はレーザー振動計を用いた。 Fig. 12 に実験結果を示す。汎用エポキシ樹脂を使用した試験片に対し,改良樹脂を使用した試験片は,基材のエポキシ樹脂にエラストマー成分を加え,かつ,相溶性を向上させている。これにより,改良樹脂は,樹脂内の相互作用を向上させることができていると考えている。

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