マツダ技報 2021 No.38
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(3)(4)(5)誤差(観測ノイズ)の(5)においては互いに独立で同一の正規分布(6)式(6)(7)においては適当なカーネル関数k (x,x′)を用いた対称行列(8)(8)iK=k)=k(k(k(k(nn) ―151―02 )εiε⎤⎥⎥⎥)⎦⎡⎢⎢⎢⎣y=f (x) + ε X=[x1, x2, …, xn] y=[y1, y2, …, yn]T εi=yi-f (xi) (i=1, 2, …, n) 2.1 データの取得方法 本節ではモデルとした内燃機関の装置について述べる。装置は排気量1.997L,4気筒の可変バルブタイミング機構を備える直噴ガソリンエンジンを用いた。ガソリンエンジンの空気の流れについて説明する。ここでは,エアクリーナーに吸入された空気がスロットルバルブを通じてサージタンク内に流入する。サージタンク内の空気は,クランクの回転に同期して開閉する吸気バルブを通じてシリンダー内に流入する。シリンダー内に流入した空気はシリンダー内に直接噴射される燃料と混合し,火花点火により燃焼する。燃焼後のガスは同じくクランク回転に同期して開閉する排気バルブを通じて排気管に排出され,排気ガスの浄化装置などを通過して大気に出される。Fig. 1 Charging E■ciency2. 実験及び解析方法Table 1 Technical InformationFront wheel drive 6AT1.997LWater-cooled in-line 4cylinder DOHC 16valve engine13Unleaded regular(91RON)xx),11xx),1nXX(,σnxx,1xx,nDrive systemEngine capacityEngine typeCompression ratioFuel type2.2 データの解析手法(Gaussian Process) 統計モデリングには,ガウス過程回帰を用いた(Gaussian Process,以下,GP)。GPに関するハイパーパラメーターは,入力する訓練データに基づいて最尤推定を行うことで決定する。ハイパーパラメーターにより,各データに対して時系列的な変化を表現する曲線(カーネル関数)を使ってモデル化できる。入力データ値によって何通りかの多項式を描けるが,最尤法を用いて1つのカーネル関数を使って表現されることが利点である。本手法はRasmussen (1996) の論じるガウス過程が元になっている(3)(4)。 以下ではGPの概要を述べる。xを説明変数ベクトル,yを目的変数とし,xとyを誤差項 ε とともに結び付けた関数モデル(1)をベイズ推定することを考える。xとyのn組のペアからなる訓練用の観測データセット(2)式がサンプルとして得られたとする。(2){(xi,yi) | i = 1, 2, …, n} N~(,f | X =[f (x1), f(x2), …, f(xn)]  研究で着目したのは,上記一連の流れの中で筒内へ流入する空気の質量である。一般的に充填効率(Charging Efficiency:以下CEと記す)というパラメーターで表される(Fig. 1に示す)。CEは筒内に流入した空気の質量を,行程容積(1.997L/4気筒=0.499L)を占める標準空気(20℃,1atm)の質量で正規化した値である。このCEは一般に直接計測することが難しいため,推定量が用いられ推定には物理モデルや近似物理モデルで行われる。吸気系のダイナミクスを表現した物理統計モデルにおいては,エアフロセンサーやクランク角センサーを用いて計算するエンジン回転数など,多くのセンサー値を使用して各自動車メーカーが工夫を凝らしているところである。従ってCEの推定精度を高めることやより少ないセンサー数,更には計算負荷の少ないアルゴリズムで推定が可能になる技術開発が重要である(2)。 本研究では,エンジンシステム(各センサー含む)及び1次元吸排気シミュレーションツールの解析値を用いている。Table 1にエンジンの設定条件を記す。行列(3)とベクトル(4)を定義し,に従うことを仮定する。また,関数f (x)の実現値

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