―10―3. 商品特徴3.1 KV#1 デザイン マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」は,2019年のMAZDA3からフェーズ2として新たなステージへと踏み出した。「Car as Art」というテーマの下,更に芸術性を高めるとともに,表現に拡がりを持たせることにチャレンジしている。MX30では,これまでと変わらぬ人の手が生み出す美しいカタチとこだわりのつくり込みを基礎としながら,これから始まろうとしている価値観の変化や,新しい生き方に寄り添った表現の方向性を模索した。そうして生まれたのが,MX30のデザインである。「Human Modern」をデザインコンセプトに,大胆な塊そのものがもつ美しさを際立たせるため,シンプルな立体構成に徹したエクステリア,後述するフリースタイルドアによる身軽さを体現したキャビンデザイン,親しみやすい表情,抜けのよい立体構成により「開放感に包まれる」インテリア空間,サステナビリティをテーマとした個性的な素材使い等,いままでにない新しいアプローチにより,魂動デザインの方向性を体現した。クルマの既成概念にとらわれない,使う人の発想による創造的なライフスタイルを実現できる。 また,クーペライクなキャビンとフリースタイルドアをクリアに表現するために,キャブサイド(AピラーからDピラー)の一部とリアゲートサイド部にメタリックカラーによる開発呼称フレームドトップの3トーンカラーを開発している。(1)フリースタイルドア この車の最大の特長のひとつが,センターオープン式のドア構造を実現したフリースタイルドアである(Fig. 1)。Fig. 1 Freestyle Door 専用設計のヒンジの採用により,フロントドア82°,リアドア80°という,ほぼ垂直に近い角度まで開く前後ドアを実現した。またセンターオープン式としたことで,移動することなく前後ドアの開閉操作を行うことができる。なお,ドア開時はフロントドア→リアドアの順に,ドア閉時はリアドア→フロントドアの順に操作する構造としている。フロントドアの開度は,大きな荷物の扱いや,ベビーカーや車いすでのアクセス性までをも考えて設定している。例えばベビーカーを使用する場合,前後ドアを開いたその間のスペースで乗せ降ろしの準備が可能。そしてセンターピラーがないため,子どもの顔を見ながら楽な姿勢でスムーズに乗せ降ろしすることもできる。また乗降性の良さを実現するため,開口部の高さや造形,サイドシルの断面やサイドシルガーニッシュの形状などは,人間特性に基づいて綿密に設計。センターオープン式の開閉構造と合わせて,自然な姿勢でスムーズに乗り降りできるように造り込んだ。またリアドアトリムには縦型グリップを採用。開閉操作時に力を入れやすく,またドア全開時にも手首に大きな負担をかけることなくつかめる構造としている。マニュアル調整式のフロントシートには,ワンタッチでシートバックが前に倒れると同時に前方へスライドするウォークイン機構を搭載した。3.2 KV#2 心がととのう室内空間 MX30では心の領域まで踏み込んだ価値に挑戦した。乗る人に安心感を与え,気持ちをリフレッシュさせ,心をととのえる。これは,自分らしく自由に創造的なライフスタイルを送る後押しになる。乗り込んだ瞬間から,運転し,クルマを降りる瞬間まで,全てのシーンにおいて乗る人にとって自然体でいられるよう,空間や素材,最新の心と体の研究に基づく機能を融合させて室内空間を造りこんだ。(1)フローティングコンソール(空間) マツダならではの人間特性に基づいた造り込みによって運転に集中できる環境を支えるとともに,開放感にあふれる居心地のよさと使い勝手のよさを提供した。 人間特性の考えに基づき,シフトレバーとコマンダーコントロールを前方に配置し,センターアームレストの高さも確保した。これにより,アームレストに肘を置きながら,自然な腕の角度で各デバイスを操作できるようにしている。センターアームレストのクッション部には前後スライド機構を採用。乗員の体格を問わず,誰もが安楽な姿勢を取れるように造り込んだ。 コンソール前方下側の吹き抜け構造部は,前席乗員同士の強いつながり感を創出するとともに,収納スペースとしても活用できる。MX30の最大の特徴のひとつとして,すっきりとした抜け感の表現と機能性を高次元に両立した。(2)後席デザイン(空間) 開放感に包まれる新しい感覚を生むために,サラウンドしたラウンジソファのような後席デザインを採用した。後席乗員が着座した姿勢から,自然に外の景色が見える位置にリアドアガラスとクォーターウインドーを配置し,居心地の良さを提供している。
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