マツダ技報 2021 No.38
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(3) エレクトリック Gベクタリング コントロール プラス MX30 BEVでは,高い操縦安定性を実現するマツダ独自のGベクタリング コントロールプラス(GVC Plus)を進化させた,エレクトリック Gベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)を搭載した。モーターのトルク特性を活かし,より幅広い領域で最適な前後荷重移動を実現することで,自然で心地よい車両挙動を実現した。 その他にもMX30 BEVには,意のままの走り,すなわちペダルやハンドルの操作に,違和感なく応答することで,コントロールしやすく楽しい運転体験を実現させるために,以下の機能を採用した。 回生協調ブレーキは,ブレーキペダルの操作量からドライバーが必要とする制動力を判断し,その範囲内で最大限のエネルギー回生を行いつつ,不足分を摩擦による制動力で補っている。 モーターペダルは,人の感覚にあったトルクコントロールを可能とした,エンジン車のアクセルペダルに相当するシステムである。発進から停止までモーターペダルだけで操作するシステムについては,マツダの安全思想に基づき採用していない。 EVサウンドは,加速状況に応じて発生するトルクの状態をドライバーが無意識に認知できることを目的とし,モータートルクに同期したサウンドを発生するシステムを採用した。 ステアリングに設置したホイールパドルは,通常走行時の「D」レンジを基準に,加速が強くなり,減速が弱くなるプラス2段と,加速が弱くなり,減速が強くなるマイナス2段の合計5段を設定し,変速可能とした。3.4 KV#4 進化した安全性能 MX30は,車との時間を心から楽しめるように,「MAZDA PROACTIVE SAFETY」の安全思想と技術で磨いた安心・安全性能を提供する。 「MAZDA PROACTIVE SAFETY」とは,ドライバーが安全に運転できる状態を確保した上で,危険を未然に防ぎ,もしものときにも備えている,人間中心のクルマづくりで安全・安心な運転環境を提供し,その先の「走る歓び」へとつなげていく安全思想である。 この安全思想の下,マツダはドライビングポジションをはじめとした基本安全技術,先進安全技術,パッシブセーフティ技術の進化に取り組み続けている。MX30でも,誰もが安心して思いのままにカーライフを楽しめるよう,i-ACTIVSENSEに新たな技術を導入したほか,直感的に操作しやすいタッチパネルディスプレーやエレキシフト,衝突時の乗員保護に寄与する強固なバーチカルレインを採用したフリースタイルドアなど,構造にも最新の開発思想と技術を注ぎ込んでいる。 MX30は,もっと自由な発想でクルマを使いたいと願うお客さまに満足いただきながら,マツダのカーボンニュートラル実現へのチャレンジと,お客様の使い方を両立するという新しい考え方から企画した車であり,BEVはマツダブランドの幅を広げるマツダ初の量産電気自動車である。MX30では,お客さまの自由な発想で,居心地の良い車内空間で,さまざまな使い方を楽しんでいただくよう,人を中心に考えたつくり込みにより,「走る歓び」をお届けすることを目指している。MX30で,多くのお客様の日常や人生に,広がりや輝きを感じていただけることをマツダは願っている。■著 者■(e-GVC Plus)―12― 竹内 都美子 岩永 未央 4. おわりに岡田 譲太上藤 和佳子 信本 昇二

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