マツダ技報 2021 No.38
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 e-GVC Plusによって,ロール角に同期した前下がりのピッチ角が発生し,先行研究(7) からドライバーのヨー認識が強調されると考えられる。そして,e-GVC Plusがあると「操舵に対する応答がよい」とドライバーはコメントし,Fig. 16のように緩やかに最大舵角まで操舵している。一方でe-GVC Plusがないと,操舵速度を速めて切り増している。この操舵行動について,ドライバーは「操舵初期の応答が足りないと感じて切り増した」とコメントした。このようなGVCによる切り込み操舵の変容は,先行研究(1) でも観測されている。レーンチェンジの後半についても,e-GVC Plusがあると,操舵角の絶対値が小さく滑らかである。 Fig. 16において,e-GVC Plusがないと操舵の完了が早いが,この時点でFig. 17のヨーレイトは収束しておらず,車両運動が収束するタイミングは,e-GVC Plusの有 MX30 EVモデルに搭載されたe-GVC Plusと同じ設定のGVCを行うFig. 14の結果のみ,ターンアウト時に視線のピッチ角速度が小さいことがわかる。このように,―17―Fig. 12 Angular Velocity of Sight Line (AVSL) without Fig. 13 Angular Velocity of Sight Line (AVSL) with Deceleration GVCFig. 14 Angular Velocity of Sight Line (AVSL) with Deceleration & Acceleration GVCFig. 15 Angular Velocity of Sight Line (AVSL) with Deceleration & Excess Acceleration GVCGVCFig. 16 Vehicle Speed and Steering Wheel AngleSWA[deg]GVCreq.[m/s2]AVSL[deg/sec]SWA[deg]GVCreq.[m/s2]AVSL[deg/sec]Time[sec]Time[sec]適切な設定のGVCは,人の負担を軽減する。なお,視線に加え,GVCによって頭部と胸郭が連動して動くことが観測されており,詳細は文献(6) に示す。3.2 レーンチェンジ中の操舵行動への効果 3.1では緩やかなコーナリング中の視線について分析した。本節では,操舵行動について分析する。ダブルレーンチェンジモードで,時系列の操舵角変化を比較する。約50[km/h]の車速で進入しアクセルオフで操舵のみを行う,ダブルレーンチェンジ試験を行った。ISO 3888-2に準じてレーンチェンジコースを設定し,進入路は車幅×1.1+0.25[m]と狭く設定した。これにより,操舵の開始タイミングが制限される。e-GVC Plus有無の2仕様について比較する。なお,この走行モードにおいては,Fig. 1における➀➁➂全ての制御が作動する。 脱出速度が近いものを,e-GVC Plusの有無で其々選び,時系列の車両運動をFig. 16~18で比較する。まず,Fig. 16に車速と操舵角を示す。脱出車速は,e-GVC Plusの有無で同じであるが,進入車速はe-GVC Plusがあると速い。しかしながら,より緩やかに余裕をもった操舵が,e-GVC Plusによってできている。

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