(1)モーター回生による減速度制御 EVの駆動力制御においてポイントとなるのはモーター回生による減速度の設定である。MX30 EVモデルではブレーキ・バイ・ワイヤユニットによる協調回生ブレーキシステムを採用しているため,ブレーキペダル操作によっても摩擦ブレーキを使わずにエネルギー回生による減速が可能である。そのため,アクセルペダル,ブレーキペダルのどちらにモーター回生による減速度を割り当てるかは自由であり,ドライバーの運転姿勢やコントロール性を重視した設定が可能となる。そこで,アクセルオフ操作に割り当てるべき減速度の最大値を検討した。(2)車体の高剛性化による応答遅れ低減 上記(1)はユニットとしてのトルク応答性の違いであり,これを車両として実現するためには,トルクを受け止める車体側の剛性を高める必要がある。そこで,ドライブシャフト剛性やモーターマウント剛性を高めて最適化した(Fig. 3)。 その結果,Fig. 4 に示すように,アクセルペダル操作に対する車両の加速度応答時間についても,ICE比で約60%低減した。―21―[ noitareeccAl]mN[ euqroT]2s/m2.1 ねらい モーターペダルのコンセプトをFig. 1 に示す。ドライバーがまるで自身の筋肉のように直感的に車両の加減速をコントロールできるよう,モータートルクの向きと大きさをドライバーが知覚しやすいこと,そしてそのモータートルクが車両に伝わり加減速挙動となるまでの遅れが最小限となることに注目して,システムを開発した。Fig. 1 Motor Pedal Concept2.2 人間の操作から車両応答までの時間最小化 モーターペダルコンセプトを実現するためには,ドライバーのペダル操作に対する車両の加減速挙動の応答時間の最小化が重要となる。(1)パワーユニットによる応答遅れ改善 内燃エンジンと電気モーターの駆動トルク応答性の違いをFig. 2 に示す。MX30 EVモデルと同等の最大トルクをもつ直列4気筒2.5Lエンジンに比べて,アクセルペダル操作に対する駆動トルクの応答時間が約50%低減している。Fig. 2 Comparison of Torque ResponseFig. 4 Comparison of Acceleration Response2.3 モータートルク制御 加減速におけるモータートルクをシームレスにコントロールするため,アクセルオフ操作によるモーター回生減速度や,トルクがゼロを跨いでプラスとマイナスを行き来する領域も含めて,アクセル操作による目標加速度制御を緻密に設定した。 Fig. 5 にPCM (Powertrain Control Module) におけるモーターペダルの制御ブロック図を示す。➀のアクセルペダル操作量に対する目標加速度・減速度の制御を以下(1)(2)(3)で,➁のアクセルペダル操作速度に関する制御を(4)で,➂のバックラッシュ制御を(5)で説明する。Fig. 5 Motor Pedal Control Flow in PCM2. モーターペダルFig. 3 Motor-Mount and Drive ShaftAcceleration Pedal OnMX-30 EVResponse improved 50%ICE carTimeAcceleration Pedal OnMX-30 EVResponse improved 60%ICE carTime
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