マツダ技報 2021 No.38
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―22―Fig. 9 Creep Characteristic(3)アクセルペダル操作量と加速度特性 加速側は,ICEで構築してきた目標加速度制御(1)に基づき,ドライバーのペダル操作から加速意図を汲み取ってトルクを発生させる。EVにおいても,アクセルペダルの操作量(ストローク)に加えて,ペダル操作速度によって加速度の特性を変化させる制御とした。 アクセルペダルの操作量ごとにピーク加速度をプロットした図をFig. 10 に示す。アクセルペダルストロークの全域を有効に使って加速度をコントロールできるような特性とした。(4)アクセルペダル操作速度とジャーク特性 アクセルペダルの操作速度ごとに発生する車両のジャーク(加速度の時間変化率,加加速度もしくは躍度)をプロットした図をFig. 11 に示す。この特性から,ドライバーがアクセルペダルをゆっくり踏み込めば穏やかなFig. 6 Re-gen Deceleration Control by Acceleration PedalFig. 7 Re-gen Deceleration Control by Brake Pedal Fig. 8 に,アクセルペダルとブレーキペダルが受けもつモータートルクの領域の概念図を示す。1.5m/s2 に相当するマイナス(回生)トルクの領域までをアクセルペダルに割り当て,それより大きな減速度はブレーキペダル操作によって回生する構成とした。これにより,幅広い走行シーンによってドライバーの負担感なしにエネルギー回生を行うことが可能となった。(2)極低速におけるクリープ現象の設定 EVでは,停車前後のペダルによる挙動コントロールの自由度が高く,アクセルオフ操作のみで停車を実現する車両も存在する。一方マツダでは,上り坂での停止からの発進や,駐車場における極低速の車速コントロール性Fig. 8 Partition of Motor Torque Control アクセルペダルを戻すときは,ドライバーはFig. 6 に示すように右足のすねの筋肉(前脛骨筋)を収縮させてつま先を引き上げる。これは車両の減速による慣性力の向きに逆行する運動であり,操作の負担感が大きい。実車で検討した結果,1.5m/s2までの小さな減速度であれば,足にかかる慣性力も小さく,つま先の引き上げによる減速コントロールが楽にできることが分かった。そこでMX30では,アクセルオフ操作による最大減速度を1.5m/s2に設定し,それより大きい減速度はFig. 7 のようにブレーキペダル操作に割り当てることとした。を重視するため,停車からのブレーキオフ操作時にトルクコンバーター式AT車両のようなクリープ現象を設定し,車両の停止はブレーキペダル操作で行うこととした。 クリープ現象は,Fig. 9 に示すように,車両の動き出しが穏やかで,ドライバーが予測可能な特性とした。これによって,駐車場でブレーキに足を載せたまま前進・後進の切り替えをしたり,ドライバーが平坦と感じるような緩い上り坂での意図しない車両のずり下がりを防止したりと,より安全な運転が可能となる。

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