MX30 EVモデルのモーターペダル開発では,ステアリングホイールパドルの新機能とともに,人間中心の考えのもと,ICEから更に進化した人馬一体感を目指した。 その結果,走りのリニアリティが高く,ドライバーの操作とクルマの挙動がシンクロする感覚の高い一体感が実現できたと考える。マツダは今後も,人馬一体の走りの進化を追求していく。(1) 江角ほか:SKYACTIVG制御技術の紹介,マツダ技報,No. 29,pp.36-40(2011)(2) 服部ほか:音からの情報で意のままの運転に貢献するエンジンサウンド開発,マツダ技報,No.37,pp.45-49(2020)―25― 森下 慎也 津田 顕 Fig. 18 Paddle Behavior and Usage SceneFig. 19 Pedal Stroke vs. Acceleration in Each Paddle Stepまるとともに,アクセルオン加速度の応答が穏やかになる。これによって車両の走行抵抗が増したような状態となり,下り坂ではブレーキペダルを踏む頻度を減らしながら,一定の車速を保つことが容易となる。左側2段目のD▼▼では,公道の勾配設定基準である道路構造令における最大の下り勾配までをアクセルオフでカバーすることをねらった。 右側のパドルを操作すると,アクセルオフによる減速度が弱まり,2段目のD▲▲では回生トルクがほぼゼロの惰行の状態となる。アクセルオンの加速は鋭くなるため,走行抵抗が低減したような状態となる。これにより,上り坂や高速道路での車速維持が容易となり,登坂加速や追抜き加速もより楽にできる。 各パドル段位における,アクセルペダル操作量に対する加速度・減速度の設定イメージをFig. 19 に示す。アクセル全開時(100%)の最大駆動トルクは同一であるのに対し,アクセルオフ時の最大回生トルクには差をつけることで,ペダル操作に対する加速度応答の傾きが変化するため,ドライバーはパドル操作によって走行抵抗が変化したかのように感じられる。 また,各パドル段位の間に明確なトルク段差を設けることで,ドライバーがパドル操作時の段位変化を認知しやすくした。このトルク段差に連動してEVサウンドも変化するため,より直感的な操作が可能である。ワイン光永 誠介服部 之総ディングにおいては,このパドル操作を積極的に活用することで,よりダイナミックに加減速と荷重移動のコントロールを楽しむことができる。4. おわりに■著 者■参考文献梅津 大輔 岡田 光平
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