マツダ技報 2021 No.38
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(2)操作特性のねらい Pポジションを含む全てのシフトポジションを誰もが楽に操作できるエリア内に入れるためには,従来のシフターよりもショートストローク化が必要となる。 「確実な操作実感」と「楽に操作できる荷重特性」をショートストロークで実現するための新たな要件を導き出した。新たな要件は以下のとおり。・安全にかつ滑らかなP⇔Rの横方向操作を可能にするピーク荷重・シフトポジションの切り替わりを認知できる最小ストローク量とRND操作における荷重ピーク点からの荷重低下率:△B/△P(Fig. 5)・シフト操作が完了したことのフィードバックを掌に柔らかく返すストッパー特性(Fig. 6)(1)逆L字のシフトパターンを実現する機能配分 従来の機械式シフトでは,ストローク方向変換のためのリンク機構が必要であり,逆L字のシフトパターン実現には構造が複雑となるため不向きである。 一方,エレキシフトではシフターの物理的な操作位置をセンサーで検知し,電子制御で取り扱うことが可能な電気信号に変換して出力する(Fig. 8)。これにより,機械的な接続の制約から解放され,Fig. 3で示す逆L字型のシフトパターンを実現した。(2)ねらいの操作特性を実現する機能配分 従来の機械式シフトで機能配分すると以下の制約がある。・トランスアクスル側のシフトポジション切り替えに必要なストローク・意図しない外力などでシフトポジションが切り替わ―28―3. シフターFig. 4 Driving Position Requirements Area (Image)Fig. 5 Switching Load CharacteristicsFig. 6 Load Characteristics of the Stopper3.1 操作システム構成の変更に伴う逆L字型シフトパFig. 7 Shift Pattern and Operating Characteristics (LHD)Large Size Leach Limit Small Size Leach Limit Target Area  楽に操作できる姿勢として,体から遠い側は腕を伸ばした状態から肘を数十度曲げた状態,近い側は肩から肘が垂直までの範囲とした。Fig. 4は小柄な方の体から近い側の限界と,大柄な方の遠い側の限界を示したもので,それらの間が誰もが楽にシフターを操作できる配置エリアとなる。 MX30では,Pポジションを含む全てのシフトポジションがこの範囲に入るようにシフターを配置している。 これらの要件を従来の要件に加え,目標操作特性を決定した(Fig. 7)。 ドライバーのポジション切り替えの意を感じたと同時に,吸い込んで優しく受け止める,このマツダらしい操作感を目標に掲げ,シフター開発に取り組んだ。ターンとねらいの操作特性の実現

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