マツダ技報 2021 No.38
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―29― Load Fig. 8 Mechanical and Electronic Shift Systemらないようにするための予荷重・チェンジケーブルの荷重伝達ロス 一方,エレキシフトはトランスアクスルと繋ぐケーブルがないため上記制約から解放される(Fig. 9)。エレキシフトでの機能配分により,ねらいの操作特性を実現した。Fig. 9 Operating Characteristics Generating Function3.2 シフター設計 構造制約から解放され,シフターの設計自由度が高くなるエレキシフト化によるメリットを生かし,逆L字のシフトパターンとねらいの操作特性を省スペースで実現した(Fig. 10)。Fig. 10 Structure Summary of the Shifter(Side View)(1)シフトレバー作動角 ショートストロークでありながら,操作したポジションに入ったことを認識しやすくするためには,シフトレバーの作動角が重要である。シフトレバーの傾きの変化4.1 制御システム構成 今回開発したエレキシフトの制御システム構成を説明する。主に以下の3つのデバイスを搭載することで,シフトシステムを電子制御化(シフトバイワイヤ化)した。➀ Electronic Shifter シフター内部にはECUと,ドライバーが操作したレバー位置を検出するポジションセンサーを搭載している。ECUがそのセンサー信号を読み取り,シフト操作信号として,CAN通信で他のECUへ送信する。➁ PCM(Powertrain Control Module) Electronic Shifterからのシフト操作信号,ドライバーによる関係する操作及び車速など車両状態に応じて,シフトポジション切り替え可否を判断する。その判断に基づいて,シフト切り替え指示信号をEPLへ送信する。また,現在のシフトポジション位置などの情報を他のECUへ送信する。➂ EPL(Electric Parking Lock) トランスアクスルのシフトポジションを切り替える電動アクチュエータ及びその制御ECU。PCMからのシフト切り替え指示信号に基づいて,アクチュエータを駆動し,その結果としてのトランスアクスルのシフトポジションをCAN通信でPCMへ送信する。4. エレキシフト制御システムStroke Load Stroke Load Mechanical Shifter Control Cable Transaxle Driver Shifter Driver Shifter Load Point Lever Pivot Mechanical Shift system Electronic Shift system Stroke Stroke Load Electronic Shifter Shift operation signal Transaxle Control Cable Transaxle Lever Stroke (1)Lever AngleShift Lever Length L (4)Sensing unit(2)Lever Stopper& Shift-Lock (3)Shift Pattern Guide & Detent を感じやすい作動角を導き出し,シフターの設計に反映した。(2)シフトレバー比 シフトレバーの支点からシフトノブ荷重点までの距離(シフトレバー長さ)Lと,同支点から操作特性を発生する機構やストッパー部までの距離 ℓ のふたつの距離の比を従来の機械式シフトと比べて小さく設計(低レバー比化)し,最適化した。これにより,機構部における部品同士の隙間によるガタつきをシフトノブ上では感じ難く,剛性感は高く感じるよう設計した。(3)ディテント・ストッパー (2)で説明した低レバー比化によって,ディテント部に負荷される荷重を小さくできる。これにより操作特性を発生する機構とシフトパターンを作り出すゲート機構,及びストッパーを統合することができ,ねらいの操作特性と逆L字型のシフトパターンを備えたシフターをコンパクトに設計した。(4)ポジション検出 内部機構の作動量を大きく設計し,少ないセンサー数で操作位置検出を行えるように設計した。 ショートストロークかつ小型化したシフターと,従来の機械式シフトシステムで必要なケーブルやリンク機構の廃止に伴うコンソール周辺の省スペース化により,空間の占有率を従来の機械シフトと比べ70%削減した。これによりフローティングコンソール実現に貢献した。

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