―32― MX30 EV MODEL (以下MX30) では,BEVならではの駆動力のつながり感・応答の自由度を活かし,マツダの目指す人馬一体の考え方を実現している。具体的には,エレクトリック Gベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)やステアリングホイールパドル,モーターペダルといった走る歓びを加速させる新機能を採用し,走りの魅力品質を進化させた(詳細は別稿参照)。また,駆動用バッテリーの容量は35.5kWhとし,LCA (ライフサイクルアセスメント) によるCO2 排出量を抑えつつ,買い物や通勤など日常生活でのお客様の実用的な使用環*1~3 PT制御システム開発部 1. はじめにThe inputtable and outputtable power of batteries for BEVs, in general, largely depends on the temperature and charging state; therefore, output power of drive motor and input power of regeneration may decrease, which a■ects driving performance and cruising range. We have developed elemental technologies to use up potential performance of batteries as much as possible even in sever temperature and charging state through the MX30 EV Model. The technologies were developed from the three perspectives of “using up inputtble and outputtable power”, “stabilizing inputtble and outputtable power” and “compensating for the low power state”. As a result, the technologies contribute to Mazda’s concept of “Jinba Ittai” and the practical cruising range of the technologies, “Maximizing Battery Performance for BEVs”.Key words: EV and HV system, Energy control system, Energy management, Battery technologyMX30 EV Model. We explain, in this paper, the electric drive system of the MX30 EV Model and the elemental PT Control System Development Dept.Akira HashizakaKenji TanakaDriveability & Environmental Performance Development Dept.Norihira WakayamaNaoki TsukamotoKeitaro EzumiKohei OkadaBEVのバッテリーを使い切る技術Maximizing Battery Performance for BEVs要 約 一般的に,BEV用の駆動用バッテリーの入出力可能電力は温度や充電状態に大きく依存するため,駆動用モーターの出力や回生発電量が減少し,走りの魅力や航続可能距離に影響が出る。MX30 EV MODELでは,「入出力可能電力を余すことなく使う」,「入出力可能電力を安定させる」,「入出力可能電力が低い状態を補う」の3つの観点で,厳しい温度・充電状態でもバッテリーのポテンシャルを可能な限り使うための要素技術群を開発した。これにより,マツダが目指す人馬一体の走りと,実用的な航続可能距離を確保することができた。本稿では,MX30 EV MODELの電気駆動システムの紹介とともに,この要素技術群である「バッテリーを使い切る技術」について解説する。Abstract橋坂 明*1若山 敬平*2江角 圭太郎*3田中 健治*4塚本 直樹*5岡田 光平*6境に見合った航続可能距離を確保している。 一方,BEVのパワーソースは基本的には駆動用バッテリーのみである。駆動用バッテリーの入出力可能電力は温度や充電状態などにより制限されるため,走りの魅力品質や航続可能距離に影響がある。そこで,MX30では,さまざまな温度・充電状態でバッテリーの入出力性能を引き出すための電気駆動システムならではの要素技術群を採用し,走りの魅力品質を確保すると同時に,限られたバッテリー容量で実用的な航続可能距離を確保した。本稿では,この要素技術群である「バッテリーを使い切る技術」について解説する。*4~6 走行・環境性能開発部 特集:MAZDA MX3006
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