マツダ技報 2021 No.38
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Pbat=Tm・Nm/ηmot+Pdcdc+Pac Pbat:駆動用バッテリー出力[kW]Tmot:モーター軸トルク[N・m]Nmot:モーター速度[rad/sec]ηmot:モーターインバーター総合効率[-]Pdcdc:DC/DCコンバーター消費電力[kW]Pac:電動エアコンシステム消費電力[kW]―34― バッテリーを使い切る Maximizing Battery Performance eruarepmeT tt ] t llWk[upuo rewop yrett0℃ eCaBFig.5 Time-chart of battery power use. High Low 0% UnsatisfiedSOC ExcellentGo odoutputpower 100% 入出力可能電力を余すことなく使う Fully useing of Output/Inputtable power 入出力可能電力を守る制御 Protecting Output/Inputtable power 入出力可能電力を安定させる Stabilizing Output/Inputtable power クーリング・ヒータシステム Battery Cooling & Heating System 入出力可能電力が低い状態を補う Compensating low performance Loss Deceleration Assist Human Machine Interface DC/DC Overpower Time Fig. 3 Dependency of Outputtable Power of Li-Ion Batteries on Cell Temperature and SOCFig. 4 Tree Diagram of Maximizing Battery Fig. 5 Time-Chart of Battery Power UseMX30では,Nmotは車速に依存するため,Tmotを(2)式Performance TechnologiesMotor/Invertor Outputtable power Electric AC system したバッテリー入力性能が必要である。 しかしながら,一般的な駆動用バッテリーにおいては,寿命や信頼性確保ための入出力可能電力が設定されている。Fig. 3 にリチウムイオン電池の出力可能電力の傾向を示す。SOCはバッテリーの充電状態を示し,残充電容量が大きいほどSOCは高くなる。一般的に低温(氷点下)や低SOCでの出力可能電力は,駆動力(走り)にとって満足のいくものにない。また,入力可能電力については,低温や高SOCで低くなり,減速回生の機会と電力量が減る。 既存のリチウムイオン電池の性能向上をはじめ,全固体電池などの新型電池開発といった取り組みがされているが,満足のいく入出力特性をもつバッテリーの実現には時間を要すると考える(1)(2)。一方で,BEVの普及は喫急の課題であり,バッテリーの進化を待てない。そこで,MX30では既存のバッテリーのポテンシャルを最大限に使い切る技術,すなわち,・入出力可能電力をマージンなく使い切る技術・温度管理などにより入出力可能電力を安定させる技術・入出力可能電力の低下を適切に補う技術を作り込んだ。これら技術により,低温や低SOCでの駆動力を確保するとともに、回生量の減少も最低限に抑えた。Fig. 4 に,バッテリーの使い切り技術の概念を示す。3.2 入出力可能電力を守る制御 Fig. 5 に,走行中の駆動用バッテリーの使い方のイメージを示す。DC/DCコンバーターでは一定以上の電力が消費され,空調作動時は電動空調システムでも一定以上の電力が使用される。モーターインバーターへの電力は運転者の要求駆動力に応じて増減するが,出力可能電力が十分にない場合,駆動力を制限しないと,駆動用バッテリーの出力可能電力を越えてしまう。駆動用バッテリー自身は入出力を制限することはできないため,モーターインバーターなどの負荷側の消費電力を制御することで,入出力可能電力を守る必要がある。 減速においては,モーターインバーターで減速回生を行うため,電動空調システムとDC/DCコンバーターの消費電力を差し引いた回生電力がバッテリーに入力される。出力側と同様,モーターインバーターの電力マネジメントを行わないと,入力可能電力を超えるケースがある。 Fig. 2 に示したように,BECMは入出力可能電力(Pin,Pout)をリアルタイムで演算し,PCMに送信する。PCMは,バッテリー電流・電圧やモーター速度等の情報を受信し,PinとPoutを守るようにDMCMにモータートルク出力を指令する。 バッテリー出力電力はモーターが力行運転の場合,(1)式となる。(1)

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