マツダ技報 2021 No.38
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―45― tnerruC▲56% Vehicle‐BUS 4. MX30への新機能実装Fig. 4 Electric System ConfigurationCharging Power saving CAR UnitCAR UnitWakeupPT‐BUSDC/DCConverterPCMInverterFig. 5 Network TopologyTimeTiFig. 6 Current ConsumptionSleepLi‐BatteryOn BoardCharger電”中は家屋と車両が充電ケーブルで接続されているため,“走行”はできないようにしなければならない。 ユーザーの要求に対して,共存できる機能は積み上げて作動させてユーザーの利便性を確保しつつ,背反するものは拒絶または上書きして安全を担保させる仕組みを構築し,これを不整合なく動作させるソフトウエア構成が必要である。(3)機能追加削除可能な拡張性 CASEでの急速な電動化の進化により今後さまざまな機能追加が想定される。これら新規機能を必要な車両にタイムリーに導入しなければならない。更に,各機能を実現するために追加ユニットが必要になる。そのため,機能やユニットを追加・削除が自在にコントロールできるプラグアンドプレイの仕組みを構築する必要がある。 これまでマツダでは幾つか電動化技術を導入してきたが,どれも個別開発を行ってきた。そのため,ICE車のシステム構造ではマルチソリューションに対応できる拡張性をもっておらず, BEV機能追加が容易な状態ではない。そのため,第3章での課題を解決できる新世代商品群で適応可能な以下の制御構造・システム構成に刷新した。4.1 高電圧エレキシステム構成(電源構成) ユーザーが機能を必要とするタイミングで必要なユニットを起動させるため,ICE車のPCMを高電圧システムの頭脳ECUとして設定し,高電圧コンポーネント(以下コンポーネント)の起動遮断や動作を管理する構造を構築した。その際,各ユニットとの起動遮断IFをシンプル化し,ユニット間通信もPCMとのPeer to Peer通信を基本とした(Fig. 4)。 これにより,電気駆動システムによってコンポーネントが増減した場合でも,容易にPCMで差分を吸収することができる。各コンポーネントにおいても,何の機能で起動されているかは認識せずとも,頭脳ECUに従って必要なタイミングで起動,動作すればよい。そのため,使われ方が変わっても各コンポーネントに影響を与えない。加えて,不必要なシーンで起動しないため間違って動作することもない。こうした構造を設定することで,安全面の確保と,マルチソリューション実現に向けた電気駆動ユニットのプラグアンドプレイ構造を実現した。4.2 高電圧エレキシステム構成(通信構成) 近年のECUは通信で起動遮断できることで機能の幅が広くなる一方,通信が行われることで不必要なECUまで起動してしまうのが現状であり,またその際の消費電力も増加している傾向にある。そのため,これを通信トポロジの適正化によって防止した(Fig. 5)。 “充電”などの機能では,充電制御の通信は常時必要であるのに対し,ユーザーへの通知などによる通信は機能開始時や終了時のみ必要と限定的である。そのため,充電制御に関係する電気駆動系のユニットと,ユーザーへの通知などの車両系のユニットで分離したトポロジを採用した。その際に,PCMが電気駆動系と車両系の通信の仲介を担い,電気駆動系のみで通信可能となるようなNM(Network Management)システムを構築した。これにより,充電中は車両系の不必要なユニットを遮断できる構造とし,電力消費を最小化するとともに充電時間短縮といった性能向上を実現した(Fig. 6)。

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