MX30に搭載する高電圧電池パックは,電池モジュールをはじめ,電池の状態を監視・制御するコントロールユニット,高電圧回路の起動遮断を行うジャンクションボックス,電池を適温にコントロールする冷却配管や電池ヒータなどさまざまな部品から構成されている。車両の使われ方や保証すべき耐久性能を見定め,振動試験条件を設定し,各部品に対して異常な共振をさせない構造を検討している。 また振動開発では,路面から車両,電池パック,内部部品への振動伝達や部品に加わる応力・加速度を実機やCAEを用いて解析している。それらのデータや結果を活用し,車両やユニット設計(モデル作成)段階で,電池パック全体に対する振動増大・応力集中箇所などを事前に把握し,振動を抑える対策や重量の最小化を行っている。更に,実機による対策の妥当性を検証し,CAEモデルに反映することで解析精度を向上させている。(1)km―53―=12π2.1 共振周波数 あらゆる物体は最も振動が増幅される共振周波数をもっている。例えば,部品を固定させるブラケットを作成するとき,部品とブラケットの共振周波数が近いと部品の振動がブラケットの共振の影響を受けて増大する可能性がある。このように接続する部品ごとに共振周波数を近付けない考え方をMX30の電池パックのレイアウト設計に用いている。 具体的に考慮すべき部品の共振周波数について説明する。走行時における振動の伝達は,路面→サスペンション→車体→電池筐体→ブラケット→電子部品とされていく(Fig. 1)。 MX30の電池パックは,車体共振,電池筐体共振,ブラケット共振,各電子部品(例えば電池)の共振がそれぞれ重ならないように設計し,過大な振動加速度を抑制している(Fig. 2)。 車両の特性として10~15Hzと低い領域に車体の共振が表れ,周波数が大きくなるにつれて振動加速度は小さくなるため,各部品の共振周波数をより高周波数域へシフトさせることで電池パック内部部品の加速度を抑えることができる。 部品の共振周波数は,式(1)によって決まる。2. 耐振動の保証方法1. はじめにFig. 1 Vibration Transmission from Outside of Vehicle Fig. 2 How to Divide Resonance of Each Part2.2 耐応力(1)SN曲線 耐振動性を保証するにあたり,振動の繰り返しにより部品に発生する応力が疲労寿命を上回り,変形や破壊に至らないか検証している。SN曲線は金属材料や種類で特性が異なる(1)ため部品に使用している材料を細かく分類して比較する必要がある。また,アルミニウムなどのto Battery Pack 周波数f[Hz] の式:f m:部品重量[kg] k:ばね定数 共振の影響を抑制する方法として部品の材料特性変更,搭載位置や固定箇所・数の変更などといった方法がある。 電池パックに搭載する全ての部品の振動加速度が,各部品の保証する耐振動性条件の範囲内であれば,電池パックに対する耐振動性保証ができる。
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