マツダ技報 2021 No.38
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―59―3.2 ルーフパネル振動抑制 Cピラー強化に伴い,リヤサスペンション入力点からルーフパネルに伝達される振動エネルギーが増加する。3. Bピラーレスボディー MX30の大きな特徴であるフリースタイルドアに対応したボディー構造の工夫について紹介する。 フリースタイルドアの採用,すなわちBピラーのないボディーでは,一般的に,強度・剛性の低下が心配される。しかし,MX30では,通常ドア構造であるベースモデルと同じマルチロードパス,多重環状構造の考えを用いて機能配分を行い安全性,剛性を確保した。3.1 ハイテン材,ホットスタンプ使用による機能強化 安全性能において,フリースタイルドアにBピラーの機能を持たせることに加え,ドア開口部を強化している。Aピラーからルーフサイド部につながるアウターレインに1500MPa級のホットスタンプ材,インナー側に1310MPa級の超ハイテン材を採用した。更に,衝突時の弱点部位となるAピラーコーナー部を分割することなく一体で設定することで剛性変化を無くし,ドア開口部の環状構造強化と合わせて,必要な強度を確保した(Fig.7)。Fig. 4 Ring StructuresFig. 5 Rear Axle Mounting Structure2.4 入力点剛性の同体質化 ベース車からの重量増に伴い,サスペンションのばねは固くしている。これに対し,ボディーはサスペンションがしっかり機能するよう支持部剛性を向上させ車両へのスムーズな入力伝達を実現した。 リヤサスペンション支持部を形成する構造において,入力方向に対して変位を抑制するビードや座面形状の造りこみを行い,入力点剛性(車両左右方向)を向上させた(Fig. 6-a)。 リヤスプリングを支持する構造においても,同様の造りこみを行い,入力点剛性(車両上下方向)を向上させた(Fig. 6-b)。Fig. 6 Rear Suspension Mounting StructureFig. 7 Cab Side Body StructureFig. 8 Cpillar Structure ボディーにおけるBピラー部の機能量が減った分,Cピラーを機能強化した。直立するCピラーの連続断面化を行い,ドア開口部の剛性を向上した(Fig. 8)。

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