マツダ技報 2021 No.38
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―60―Fig. 9 Road Noise Analysis Results4. 振動伝達制御ボディーFig. 10 New Concept of Spring Mass Model4.2 ボディーとロアケースの結合部構造 重量物であるバッテリーパックは,ボディーの振動抑制に効果的に活用した。 ボディーフレームを介してフロアに伝わる路面振動に対し,伝達経路である左右フロアフレーム,それにつながるロアケースの剛性比をコントロールすることで振動を抑制した。ボディー側の取付け点剛性(k1)に対するロアケース側剛性(k2)の比率を一定値以上大きくすることで,音圧レベルをねらいのターゲットに収めた(Fig.11)。Fig. 11 Control the Rigidity of K1 and K2これにより中周波帯域のロードノイズが増幅する。ルーフレインの中央部に集中した振動エネルギーに対し,W型断面のルーフレインを閉断面化することで,振動エネルギーを減衰させロードノイズの悪化を抑制した(Fig.9)。 大重量のバッテリーパックをフロア下に搭載するBEVが抱える問題点として,路面の突起等を乗り越えた時にでる,耳を圧迫するドラミングノイズ悪化が挙げられる。 また,トンネル構造のないBEVのフロアは,ベースモデルに対し,左右のフロアフレーム間のパネル面が広く,フロア振動が大きくなる特徴がある。 これらに対して,単純な剛性UPで対応する従来の手法では,重量が増加してしまうため,バネマスの細分化を行い,振動エネルギーを段階的に分散させることで,問題を解決した。4.1 振動伝達制御コンセプト 従来は一つのバネマスの関係にあるバッテリーモジュールの振動エネルギーはボディーに直接伝わる。そのため,バネとなっているロアケースの剛性を上げないとエネルギーが低減できず,重量アップにつながる。 これに対し,バネマスの細分化を行い,ボディーへ直結する部分への反力を段階的に分散させることを考えた。 ばねK1がばねK2より一定量低くなることで,振動レベルが低減していく特性をたしかめ,これをコンセプトに車両性能から目標とする剛性比を決定し,ボディーとロアケース,ロアケースとバッテリーモジュールの結合部構造を決定した(Fig. 10)。 構造事例を紹介する。ロアケースは内部クロスメンバーの延長線上にボディーと結合する外部Bracketを設け,Bracketは連続性に留意して形状の造りこみを行った。このように,エネルギー伝達効率を高めることで,フロア振動を抑制しロードノイズを低減した(Fig. 12)。

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