マツダ技報 2021 No.38
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―68―noitcerinoitcerinoitcerinoitceri sserPsserPirTD mD DD D D D sserPnoitcerinoitcerinoitcerisserPsserPsserP③Rest ②Trim ①Draw ③Rest ②Trim ①Draw Design Face Upper Die Lower Die Panel Lower Trim Upper Die Lower Die Panel Lower TrimPad Pad Rest DieUpper TrimScrap Panel Lower Die Panel Pad Pad Rest DieScrap Panel Lower Die Panel Fig. 1 Type of Side Frame Outer PanelFig. 2 Conventional MethodFig. 3 MX30 MethodFig. 4 Di■erence between Previous and MX30 StructureBEV Previous MX-30 RH LH Mild Hybrid おりにすることが必要となる。 そのため,従来のプレス工法を前提にすると,開口あり・なしそれぞれで金型を準備する必要があった(詳細は2.2参照)。MX30以降の車種でもマルチパワーソースの設定が想定されるため,今後の共通要素技術として,開口あり・なしパネルを同一型で生産することに挑戦した。2.2 プレス工法と金型切替え構造課題 開口のあり・なしパネルを同一型で生産するためには,成形有無を切り替えできる金型構造にする必要がある。従来工法では開口の成形を,➀絞る⇒➁切る⇒➂曲げるという3工程で行っている(Fig. 2)。 開口のあり・なしパネルを同一型で成形するためには,➀絞る工程で同じデザイン面を成形し,➁切る⇒➂曲げるという2工程で開口の成形をする必要がある(Fig. 3)。 従来工法は開口ありパネルを加工する際,絞る工程でプレス上下方向から切断できる方向に形状を作っている。MX30の工法は,絞る工程で開口あり・なしパネルの同じデザイン面を成形することから,開口ありパネルはデザイン面上を切断する必要がある。切断面品質と金型耐久性を満足させるには,デザイン面に対して垂直の方向から打ち抜く必要があるため,プレス加工方向に対して斜めに加工するカムという機構(Fig. 4)を金型に配置する必要があり,金型構造が複雑化する。 また,従来工法に対して少ない工程数で開口形状を成形することから,Fig. 3➀のように絞る工程で形状を付与できないため,デザイン面品質保証の難易度が上がる。 これら,金型構造の成立性とデザイン面品質保証についてMBD (Model Based Development) を駆使した解決事例を報告する。2.3 金型構造の成立 開口部の切断面品質と量産での金型の耐久性を保証するため開口を成形する切刃に加えて開口あり・なしを切り換える機構,更にカム機構を収めるスペースを確保しながら,周辺にある既存金型部品とのレイアウトを成立させることが課題となった。レイアウト成立のために金型構造の肉厚や補強リブの位置をむやみに変更し,金型の強度が低下すれば,プレス加工時に発生する力に耐えられず金型破損のリスクが高まる。また,金型破損に至らなくとも金型の剛性が低下し過剰な変形が発生すると,開口部のカエリやデザイン面ひずみなどの品質不良の原因となる。そこで,パネル品質・金型部品のレイアウトが成立する要件を明らかにし,開発・デザイン部門と共創することで,車両要件やデザイン面のつながりを損なうことなく切り換え機構とカム機構が成立する充電口の位置を実現した。金型強度や剛性については,強度解析を用いてプレス加工時に金型に発生する応力や変位量を分析し,金型構造の肉厚やリブ配置の最適化を行った(Fig. 5)。特に成形時にパネルを保持する役割をもつ板押さえ(Pad)については,パネルの保持に必要な圧力源の荷重が金型に加わることを考慮し,圧力源の配置バランスと構造の最適化を行うことで,同一金型で開口あり・なしのサイドフレームアウターを生産する機構を実現した。

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