マツダ技報 2021 No.38
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―81―)N( ecrof lortnoCFig. 5 Switching ImageFig. 6 Optimized ImageFig. 7 Intuitive Accelerator Control Image2.2 プッシュ式ブレーキ・肘当て プッシュ式ブレーキは,緊急時において “瞬時”に“しっかりと”ブレーキをかける必要があるため,ブラインド操作ができるとともに,肩を支点に筋力が発揮しやすい位置と角度を採用した。また“細かな操作”を実現させるために肘当てを設置し支点を作り,肘から先での細かなブレーキ操作を実現した。支点を設ける考えはオルガン式アクセルペダルと同様で,支点を作ることによって微妙なペダルワークができる考え方を踏襲している。なお,プッシュ式ブレーキは,十分な足元スペースの確保と,シートの前後スライド量を阻害しないことを考慮しレイアウトされている(Fig. 8, 9)。 また,プッシュ式ブレーキにはハザードスイッチとシフトアップダウンスイッチを搭載し,ブレーキ操作と同時にこれらの操作が手元でできるようにしている。シフトアップダウンスイッチは車両がEVの場合,シフトダウンすることで回生を強め,ブレーキ操作の頻度を低減し,両手で運転する頻度を高めることも可能となっている(Fig. 9)。Fig. 9 Brake and Switch Device LayoutFig. 8 Brake Device LayoutAccelerator operate by handIG on while pushing hand brakeRing type acceleratorhighBeforeAccelerationlowfewAccelerator operate by footSwitchIG on while pushing foot brakeFoot acceleratorFull acceleration performance is maintainedAfterFor a gentle reactionOperation amountmanySmoothDistance and positionthat are easy tochange without visual confirmationOrbit that is easyto exert powerAcceleration and responseEasy to holdInflection pointPushing amount (mm)Fulcrum forperforming detailedoperationsHazard switchShift up / down switchfulcrumOrgan type pedal 基本構造については以上で,更に「意のままに操れて気持ちがいい,また運転したい,出かけたい」と思っていただけるよう「操作に慣れるためのコツがつかみやすく,滑らかに上手く運転しようとする誰もがもつ願望に対して応えることのできる操作システム開発」に注力した。その具体的事例を以下に示す。(1)操作量に対する加速度の最適化 リング式アクセルの押し込み量は,押し込み時に使う腕の筋負担を考慮し,筋負担が極端に大きくなることのない最大18mmに設定した。しかし,これは足の押し込み量約50mmに対して小さいため,手の操作をそのまま車両に入力すると加速度が過敏になり,滑らかな操作が難しくなる。そこで,リング式アクセルと車両本体との間に中間制御ユニットを設け,押し込み量に対する加速度が穏やかになる方向に最適化した(Fig. 6)。 また,狭い駐車場のような,更に繊細な操作が必要となるシーンに対しては,より緩やかな加速度となるSLOWスイッチをハンドル横のインパネ上に設置し,シーンに合わせて素早く切り替えができるようにした。(2)直感的アクセルコントロール 交差点の右左折・立体駐車場のスロープのような舵角が大きくなるシーンでは,ハンドルの持ち替えと,アクセルの押し直しが同時に発生する。このようなシーンでは一定速度を維持するための押し込み量が瞬時に分からないと滑らかな操作が難しい。そこで,押し込む際に最初の一定量は加速がゼロ(定速),更に押し込むと大きな加速,この間に操作の基準となる明確な段差(当たり)を感じられるように設計した。またこの当たりは,定速走行のしやすさ向上,発進する際の緩やかな加速度による安心感にも寄与する(Fig. 7)。

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