マツダ技報 2021 No.38
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←←←←←14~69-5~50←←(0~55)(0~45)要←←―87―2. エンジン開発コンセプト3. エンジン諸元4. 燃焼改善技術Fig. 2 Development ConceptTable 1 Dimension and SpecificationEngineEngine TypeDisplacement (cc)Bore×Stroke (mm)Φ74.5×85.8Compression RatioCombustion ChamberCavity PistonOpen(BTDC)-36~38(ABDC)110~3614~59(BBDC)5~50(ATDC)Intake- valve TimeCloseOpenExhaust- valve TimeCloseInt. SVTEx. SVTFuel InjectionSwirl Control ValveCooled EGRMax PowerMax TorqueFuel Octane NumberProcessCurrent 1.5 LSKYACTIVG 1.5 LIn-line 4149614.012.0Flat PistonElectricHydraulicHydraulicDIw/o.w/o.81kW/ 6000rpm141Nm/ 4000rpmRON 90142Nm/3500rpmNew Fig. 3 Comparison of In-Cylinder Flow in Compression w/.w/. マツダでは,2019年にSKYACTIVXを市場導入し,日本燃焼学会「技術賞」を受賞するなど,高い評価を得ている。更なる地球環境負荷低減を推進していくためには,従来機種においても一層のCO2,粒子状排気物質(PN:粒子数/PM:粒子重量)の低減が求められる。今回紹介する新型1.5Lガソリンエンジンでは,SKYACTIVXの開発にて培った技術の一部を従来機種にも展開することにより(Fig. 2),パフォーマンスを損なうことなく,環境性能を底上げすることを第一目標として開発を行った。 今回の新型エンジン主要緒元をTable 1に示す。基本骨格は,従来エンジンから引き継ぎつつ,燃費,エミッションの改善メニューとして,SKYACTIVXでの織り込み技術である以下の2点を採用した。 ・スワールコントロールバルブ(SCV) ・クールドEGRシステム ガソリンエンジンでは,燃焼室内の混合気状態が燃費や排気ガス特性に大きな影響を及ぼす。新型エンジンではSCVの採用により,筒内混合気の流動を斜め渦状とし,流動に燃料噴霧を当て,点火プラグ付近に混合気を集め,燃焼速度を上げる新燃焼技術「斜め渦燃焼 Diagonal Vortex Combustion」を適用することで,燃費(WLTCモード従来比最大6.8%向上),エミッションPN(WLTC現行比57%低減)の改善を行った。 本章では,斜め渦燃焼の概要(4.1),新燃焼技術による燃費改善(4.2),エミッション改善(4.3),及び新燃焼技術の構築により生じた弊害への対応(4.4)を紹介する。4.1 「斜め渦燃焼 Diagonal Vortex Combustion」の概 Fig. 3に従来エンジンと,新流動形態を適用した新型エンジンにおける混合気の流線を示す。 従来エンジンでは,タンブル流(縦渦)を主とした流動形態としていたものに対し,新型エンジンでは運転条件に応じてスワール流(横渦)を付与することで,上図のような斜め渦(Diagonal Vortex)を形成させている。この混合気形態はFig. 4に示すSCVにより,吸気行程中に斜め渦流動を生成,更にFig. 5に示すピストン形状の最適化によって,圧縮行程後半までこの流動形態を維持させている。 新型エンジンでは,この斜め渦流動を活用することにより,以下2つの機能を得ている。 ➀ 燃焼急峻化 ➁ 混合気制御性の向上

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