マツダ技報 2022 No.39
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(2)入力点剛性アップ(振動/音) サスペンションからの入力点であるダンパートップ部において,サスペンションブッシュ(車両)ーダンパートップ(車体)間の剛性比を大きくすることで,エネルギー流入を抑制した。入力点剛性アップのため,マツダのボディー領域に初採用となるアルミダイカストを前後ダンパートップ部に採用した(Fig. 7)。従来の鉄構造では,形状/板厚/接合の制約から剛性アップに限界があり,形状自由度の高いアルミダイカストを採用し,新開発の高耐食性剛性接着剤(2)と併用することで,ねらいの剛性比を確保した。―92―Fig. 4 Improvement of BOP & Joint Sti■nessFig. 5 Transmission Member & Floor Member Structure 軸方向に配置した各パスの具体的な仕様を決めるにあたり,複数の衝突モードに対して機能をもつ部品を中心に高強度材料を採用し,軽量化を図った。 またCX60に適用する材料強度自体も進化させるべく,技術開発テーマとして取り上げ,鋼材メーカーや生産部門を含めた共創活動で材料開発に取り組んだ。一般的に材料強度を高めた際の重要課題となる遅れ破壊への対応や,スポット溶接部の強度予測精度向上など,数多くの課題を開発日程内で解決し,1.8GPa級ホットスタンプ材及び1470MPa級の冷間ハイテン材の車体適用を実現した。これらを含むドア開口周りの衝突骨格部品の材Fig. 6 Adaption of High Tensile Strength SteelFig. 7 Aluminum Die Casting今回,CX60では結合部剛性を改善するため,外板のボディーアッセンブリー工程を変更することで,質量を低減しながらCX5比同等以上の結合部剛性を確保した(Fig. 4)。 同じく骨格剛性値の連続性を妨げているトンネル部について,高剛性部材であるトランスミッションメンバーを効率よく活用し,車体骨格であるフロアメンバー位置と一致するように配置することで,入力を軸方向に支える連続的なアーキテクチャーを実現した(Fig. 5)。料強度アップにより,32%の質量低減と乗員生存空間確保のブレークスルーを達成した(Fig. 6)。 また,ダンパートップの支持剛性自体もCX5から大きく進化し,フロントが52%,リアが31%改善した(Fig. 8)。

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