マツダ技報 2022 No.39
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(3)走行時の振動/音エネルギー ダンパートップのアルミダイカスト化により,サスペンションブッシュとダンパートップの剛性比をねらいの値とすることで,振動/音エネルギー流入量を50%削減した。 減衰節,減衰接着剤の適用により,振動/音エネルギーから熱エネルギーへの変換率を12%向上した(Fig. 12)。(1)走行時の弾性エネルギー SKYACTIVVEHICLE ARCHITECTUREの多環状骨格構造をベースに,ボディーの結合部の進化を取り込むことで,剛性の連続性を強化した。これにより弾性エネルギーの伝達ロスを24%低減させた(Fig. 10)。(2)衝突時の運動エネルギー 衝突エネルギー制御の一例として,フロントフレームの事例を挙げる。フレームを軸圧縮させることにより,効率的にエネルギー吸収する構造とした。縦置きエンジンによ―93―Fig. 8 Suspension Mounting Rigidity(3)高歪部位への減衰特性付与(振動/音) ボディーに伝わった振動/音エネルギーを熱エネルギーに変換して減衰させるため,減衰節,減衰接着剤を適切に配置した。減衰接着剤の塗布長は,初めて適用したMAZDA3の塗布長7mから大幅に拡大させ,19mとした(Fig. 9)。Fig. 9 Adaption of Adhesive for Damping3.2 構造化コンセプトに基づいたエネルギーコントFig. 10 Loss of the Energy TransmissionFig. 11 Energy Absorption of Front FrameFig. 12 Conversion Rate to Thermal Energy3.3 エネルギーコントロールにより実現した性能(1) 身体拡張能力を引き出す骨格剛性値の連続性(操縦安定性能) 先述のエネルギー伝達のコントロールにより,人間がボディーの反応を感じ取る際のノイズを小さくした。そして,クルマの挙動をより把握しやすく,身体拡張能力を高めることができた。 また,骨格剛性値の連続性を向上させたことで,ボディー骨格の1次捩じり共振を約20%改善した(Fig. 13)。Fig. 13 Improvement of 1st Torsion-Resonanceロールる幅方向のスペースを活用し,フロントフレームをストレートに通し,かつ幅方向の断面を確保することでねらいの軸圧縮を実現した。これによりフロントフレームのエネルギー吸収量をCX5比で2倍に高めた(Fig. 11)。

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