マツダ技報 2022 No.39
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(2)世界最高レベルの衝突安全性能 エネルギー吸収のコントロールにより,衝突時の運動エネルギーを効率的にボディー骨格で吸収し,乗員や歩行者を保護する構造とした。さまざまな状況を想定した安全性能評価を実施し,世界最高レベルの衝突安全性能を実現した(欧州の衝突安全アセスメントであるEuroNCAPで,2022年に最高ランクの5★を獲得)。 また,フロントフロア下に配置したPHEV用バッテリー保護においては,衝撃を効率よく吸収するエリアと軸で受け耐えるエリアを明確化し,側突時の車体の変形挙動をコントロールすることで,バッテリー筐体保護構造を確立した。これにより質量増を抑制しながらバッテリーの生存空間を確保し,衝突時の安全性を確保することができた。 エネルギー吸収効率を高めたことと高強度材料の適用により,CX5よりも大きな車体でありながら,質量は同等とすることができた(Fig. 14)。(3) 快適な乗り心地と上質な静粛性 振動/音エネルギーのコントロールにより,20-100Hz帯のフロア振動は25%低減,100-160Hz帯の音圧レベルは5%低減し,快適な乗り心地と上質な静粛性を実現した(Fig. 15)。(1) 佐藤健一ほか:新型MAZDA3の軽量・高剛性ボディー開発,マツダ技報,No.36,pp.78-82(2019)(2) 麻川元康ほか:耐食性に優れた構造用接着剤の開発,自技会2022年春季大会前刷集,No.68-22(2022)―94―4. おわりにFig. 14 Body Shell Weight per VolumeFig. 15 Floor Vibration and Road NoiseFig. 16 Capsule Structure of Engine Room参考文献 また,CX60ではSKYACTIVXの開発で構築したコンセプト「カプセル構造によるエネルギーの統合制御」を基に,更なる効率アップと遮熱・臭気/雨水遮断・部品保持の機能をねらいとしたエンジンルームカプセル構造を採用した(Fig. 16)。 これにより,エンジンノイズの吸遮音性向上による上質な車内静粛性の達成に加え,・優れた実用燃費の達成・高効率な熱エネルギーマネジメント・フロア下の風流れ制御によるCd値改善など,1ユニットでマルチな性能向上を担う多機能型構造を確立した。 新型CX60は,SKYACTIVVEHICLE ARCHITECTUREをベースに,新世代ラージ商品群に相応しい機能進化を実現し,CX5から商品力を飛躍的に進化させることができた。この成果は企画やデザインをはじめ,関連部門と高い志を共有し,六位一体(開発・生産・購買・品質・物流・サプライヤー様)で活動を進めた結果である。今後もお客様の期待を上回り,喜んでいただけるよう,魅力ある商品開発に尽力していく所存である。

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