マツダ技報 2022 No.39
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 CX60では,従来車と同様に時速80km/hで車幅70%に可動バリアが追突する衝突モードにおいて,キャビンの変形を抑え,衝突後もドアの開閉を可能とし,フロア下に配置した燃料タンクやバッテリーパックも保護することを目指した。そのために,荷室エリアで高効率に衝突エネルギーを吸収するリアフレーム構造を採用した。 従来まではリアフレームの曲げ変形を主体にエネルギー吸収させていたが,CX60ではリアフレームをテーパー形状にすることで軸圧縮させて2倍のエネルギー吸収を可能とした(Fig. 14, 15)。また,高い効率の軸圧縮特性により,リアフレームの板厚を1ランク下げることも実現し,軽量化に寄与した。―99―Top View Bottom View Fig. 12 Battery Pack Split StructureFig. 13 Energy Absorber4. 後面衝突性能開発Fig. 10 Energy Absorption for Each Collision PositionFig. 11 Battery Protection Concept3.2 バッテリー保護構造によるエネルギー吸収制御 トンネル部のエネルギー吸収機能を最大限に活用するため,一体型のバッテリーパックをトンネル部の左右に分割して配置し,フレキシブルチューブで左右のパック間を繋ぐマルチパック構造を採用した。これにより,左右のパックを一体の挙動から別々の挙動で制御することが可能となり,トンネル部で非衝突側パックのエネルギーを吸収させることで,衝突側パックの衝突エネルギーを50%低減した(Fig. 12)。 更に,車両に高いエネルギー吸収性能が求められる重心付近への衝突時に,バッテリーパックとポールとの衝突を防止するため,車体とバッテリーパックとの締結部品にエネルギー吸収機能を付与した(Fig. 13)。

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